産経新聞社員「発行部数水増し、原発賛成はカネになるから!?」
今だって、記者個人が積極的に自分から企画を立ち上げて「原発バンザイ」とやるわけがありません。そして、業界の親分・東電がゾンビ状態になっている今となっては、カネなんか出やしません。しかし、経団連が原発推進の立場である以上、カネが出なくても、御用聞きとしてヨイショしておくわけですね。
ある支局にいた頃わかったのは、産経の最大の読者層は、県警本部と自衛隊であるということ。県警にゴマすって、警察官表彰なんていうイベントをずっとやっている。私も手伝わされそうになりました。公安ネタはもらえるかもしれないけど、警察からお金は出ません。
フジテレビは「産経はもういらない」
――産経新聞は、フジサンケイグループですが、グループからの支援はあるのでしょうか?
A氏 フジテレビはかつて産経に対して、年間、表向き20億円、裏で50億円くらいの資金援助を行ってきました。表というのは、有価証券報告書に表れる広告料。裏は、イベント協力や新聞拡販などさまざまな形です。ところが、97年のフジテレビの上場以来、それがしにくくなり、産経は苦しくなりました。
産経は長らく、大阪本社の稼ぎで東京本社の赤字を埋める構造でした。東京本社は夕刊フジとサンスポで食べていましたが、その夕刊フジは日刊ゲンダイに完敗で、食えるメディアがなくなった。
そこで、産経はさまざまな資産を売り払ってしのいできました。例えば、一部上場のサンケイビルの株を10%以上保有して筆頭株主でしたが、資金捻出のため、それをフジテレビに渡しました。サンケイビルは今や、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスの連結子会社になっています。
フジテレビからすれば、「産経新聞が持つ、唯一資産として価値のあるもの」を頂きましたというところでしょう。かつては、夕刊フジとサンスポももらってもいいかなという感じでしたが、もう赤字だからいらない、産経本紙ももちろんいらないというところでしょう。
産経側には、「フジテレビが電波利権を保持するために、メディアとしてはテレビ局より格上の自分たち新聞社の力が必要なはずだ、という思い込みがある。しかし、フジテレビにしてみれば、すでに総務省や民主党・自民党と直接交渉できるので、産経はいらないというのが本音です。
東京新聞の草刈り場
――産経は八方ふさがりですね。
A氏 ここ数年は、売る資産も底をついて、信用力がないのに社債を発行しています。09年には大規模なリストラを行いました。50代以上の社員には選択定年制を導入して、150人が早期退職しました。若手から聞いた話では、東京駅と会社のある大手町駅の間は、地下鉄移動が経費で認められてないそうです。
それから、タクシーもワンメーターの利用は経費として落とせないとか。目的地までワンメーターの710円で着いてしまったときは、仕方なく、料金が上がるまで目的地周辺を走ってもらったなんていう話もあるくらいです(笑)。そんな状況だから、優秀な記者が育たないし、どんどん辞めていく。