イオン「店舗を襲撃されてもニコニコ」中国経済に貢献した企業の今
現地ブランド「●姿(ファーツ)」(※●は化の下に十という字)は中国側が名づけてくれた名前。「●」は中華人民共和国の「華」、「姿」は資生堂の「資」と同じ発音で、花の姿を意味する。同商品のレーベルには「資生堂との技術供与品」と記されていたことから、同社の中国での認知度向上にもつながった。90 年にはアジア競技大会北京大会の指定化粧品にもなり、資生堂ブランドは着実に中国全土へ普及していった。
ワコール製のブラジャーの値段が、中国の男子工員の1カ月分の給料に相当する時代だった。
■ワコールの塚本幸一・元社長&会長
中国にまだ伝統的な下着しかなかった86 年、ワコールは日本のアパレルメーカーのトップを切って中国に進出した。ワコールは46 年の創業以来、「女性たちに美しくなってもらうことで広く社会に寄与する」ことを目標としてきたが、それを中国で実践しようと、日中4 社合弁の「北京ワコール服装有限公司」を設立した。北京ワコール服装は00 年にワコールの100%出資会社となり、03 年には「ワコール(中国)時装有限公司」と社名を変更し現在に至っている。
中国は下着の分野でも世界最大の生産・供給能力を有している。現在、中国には数千社の下着メーカーがあるが、高級品市場に限って見ても、中国系、ヨーロッパ系、香港系、韓国系など数10のブランドが競合する激戦区である。加えて、欧米諸国が中国製の安物の下着を輸入制限したため、中国国内の輸出メーカーの内需転換と高級化が始まった。欧米系ブランドの新規参入などにより、シェア争いはますます激しさを加えている。
■平和堂の夏原平次郎(創業者)
滋賀県と中国湖南省が友好協定を結んでいる縁故から、平和堂は中国湖南省にも進出した。省長からの「省の発展のため、大型商業施設を出店してほしい」との招請に応えたもので、98年に省都長沙市に合弁会社湖南平和堂実業有限公司を設立し、長沙市の中心繁華街・天心区五一広場に湖南平和堂本店(五一広場店)を開業した。平和堂最大級となる高級百貨店で、湖南省初の外資系商業施設でもあった。従来の中国国営百貨店にはない日本式の先進的なサービスが支持され、現在では同地区ナンバー1百貨店の地位を確立していた。加えて2007年10月1日には同市にて、中国2店舗目となる湖南平和堂東塘(トンタン)店を開業した。2009年9月26日には株洲市に中国3店舗目の湖南平和堂株洲(シュシュウ)店を開業した。
それにもかかわらず今回、平和堂は襲われた。
平和堂は、湖南省の百貨店3店(直営部分)の設備や商品などが壊された被害は5億円、休業による営業機会損失として見込まれる13億円と合わせて被害総額18億円になる見通しを明らかにした。平和堂に入居するテナントの被害は30億円前後に上る見通しという。