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御大・章一郎名誉会長も表敬

トヨタ、"非従順"富士重工との提携強化が早くも花咲く!?

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豊田章一郎・トヨタ名誉会長(ウィキペディアより)

 2005年から提携するトヨタと富士重工は、その協業関係をさらに強化し始めた。3月16日には群馬県太田市にある富士重工群馬製作所本工場のラインサイドで、両社が共同開発したスポーツカー「トヨタ86」と「スバルBRZ」の量産に向けたラインオフ式典が開かれ、トヨタ側からは豊田章男社長のみならず、同社長の実父であり2月27日に87歳を迎えた豊田章一郎名誉会長までが出席し、マスコミ陣をアッと驚かせた。そこまでするのは、トヨタにとってどんな意味があったのだろうか――。

トヨタ初の"従順でない"協業相手・富士重工

「サプライズである名誉会長出席は、最後の最後に決まった」(富士重工幹部)そうだ。トヨタはこれまで、資本参加したダイハツ工業や日野自動車を、30年の長い時間をかけてトヨタの言うことを聞く"従順な会社"にしてきた。子会社化しているその2社と、トヨタとの事業の結びつきは強い。名誉会長の臨席がダイハツや日野の工場だったなら、大変な緊張感を漂わせたはずだ。

 しかし式典に参列していた富士重工幹部たちは、トヨタの大御所と臨席してもまったく緊張の色を見せていなかった。それは、トヨタの富士重工への出資比率が16.5%だからという理由だけではない。トヨタは富士重工を、国内生産を維持するための"ものづくり"のパートナーとして位置づけているためだ。それは今回、傘下企業に対するスタンスをトヨタが明らかに変えたことを伝えてもいる。

 背景には、国内でのものづくりを継続していかなければならないという、トップメーカーとしての事情がある。トヨタの海外比率は10年実績で57%と、日産(72%)やホンダ(73%)に比べて低く、もともと国内生産比率が高いゆえ、国内雇用への影響力も大きい。トヨタの試算では、同社が国内生産を100万台減らすとグループで12万人の雇用が減るため、急激な雇用削減は世論の批判を引き起こしかねない。超円高や電気料金値上げがあっても、雇用の安定を求められているのだ。豊田章男社長も「(国内の生産縮小を)トヨタがやったら、この国はどうなってしまうんだという危機感がある」と話すが、それだけに、魅力ある商品をトヨタは国内で生み続けなければならない宿命にもある。

 共同開発のスポーツカーは、富士重工製の水平対向エンジンを搭載。基本は富士重工の技術で開発され、生産も富士重工が担当する。群馬製作所本工場は軽自動車を量産していたのを切り替えた。発売日は、スバルBRZが3月28日、トヨタ86が4月6日だが、前受注は好調。量産が始まった3月中旬の時点で、トヨタ86は約1カ月間で月間販売目標の7倍に相当する7000台を受注、BRZも月間販売目標の5倍を超える約2500台を受注したとみられている。「両モデル合わせて年間10万台の生産を目指す」(吉永泰之富士重工社長)計画だ。