しかし、全国203のテレビ局/ラジオ局などの民放事業者で構成する業界団体・日本民間放送連盟(民放連)に、CMスポンサー企業の責任について問い合わせたところ、「あくまでもケースバイケースだが、番組のスポンサーになるということは、番組内容に責任を持つということ」と、厳しい見方を示した。
とはいえ業界団体の見解とは裏腹に、別の河本出演番組のスポンサー企業によれば、おいそれとは責任を背負えない事情がある模様だ。
「確かにウチは、河本さんが出演している番組のスポンサーをしています。とはいえ、あくまでも広告代理店に言われるままに、CM枠を買っているだけ。しかも小口のスポンサーなので、とても番組内容や出演するタレントさんについて要望をいえる立場にはない。スポンサーといっても弱い立場。なので今回の件では非常に困惑しています」
河本出演番組のスポンサーは「広告が正常に機能しない」
ここで改めて、実際に河本がレギュラー出演している『火曜サプライズ』(日本テレビ系)を提供するCMスポンサーに、見解を聞いてみよう。この番組にはCMスポンサーとして、P&G、リーブ21、小林製薬、明治安田生命が名を連ねている。上記4社は、前出のインターネット掲示板にも企業名が掲載されているが、各社に今後の対応について問い合わせたところ、各社とも、
「番組内容、ならびに出演するタレントのプライベートな問題についてまで、何か言える立場ではありません。今後の事態の推移を見守るのみです」
との回答であった。
このほか、準レギュラーとして河本が出演している番組のCMスポンサー企業からも、おおむね同じような回答を得た。
以上のように、まずは様子見という態度の企業が大半の模様だが、「ただ事態を静観している」わけではなさそうだ。河本が出演する、あるテレビ番組のCMスポンサー企業広報担当者は、次のように話した。
「一般の方から、『なぜスポンサーを降りないのか?』などの問い合わせがある……という事実については、テレビ局や広告代理店などの関係者のほうにお伝えするつもりです」
別のCMスポンサー企業広報担当者も、
「さらに一般の方、消費者からの問い合わせが続き、企業イメージを損なうようであれば、それは広告が正常に機能しない状態なので、それに備えた動きを視野に、今後の対応を考えざるを得ない」
と、穏やかではないコメントをした。企業側の本音が透けて見える。
(文=秋山謙一郎/経済ジャーナリスト)