(「東急不動産HP」より)
一方で、不動産投資物件を扱う業者から、不動産投資の「メリットだけ」を聞いて、あまり深く考えずに買ってしまい、「人居者が入らない」「家賃が下落する」「売却しても借金が返せない」など、結果的に失敗して涙目になっている人も多い。不動産は金額が大きいだけに、一度失敗すると致命傷にもなりかねず、特に注意が必要だ。
業者の甘い口車
業者のセールストークのなかに、よく出てくる3つのフレーズがある。
1つ目は、「高利回り商品」というフレーズ。現在の低金利時代において、物件ごとに多少の違いはあるものの、新築物件では5%程度、中古物件では8~15%程度の利回りが見込めるというものである。
2つ目は、「私的年金」というフレーズ。将来的に公的年金が信用できなくなってきているなか、それ以外の安定的かつ継続的な収入を得られる「自分だけの年金」をつくりましょう、というものだ。
3つ目は、「所得税が戻ってくる」というフレーズ。家賃収入が得られるのはもちろんだが、それ以上に減価償却費を計上できるので、サラリーマンであれば給与などから支払われる所得税を損益通算することで取り戻せるということである。減価償却費は、お金が出ていかないのに経費と認められるので、資金繰りの面から有利でおトクになるというものである。
うまい話にはウラがある
しかし、こうした業者のセールストークには、大きな落とし穴があるのだ。
1つ目の「高利回り商品」は、「表面利回り」か「実質利回り」なのかということもポイントであるが、それ以上に、投資元本が確保できて初めて「利回り」といえるということが重要だ。例えば、家賃収入で年間100万円、10年で1000万円の収入を得たとしても、10年後の物件価格が1000万円下落していたら、1円も利益がなくなってしまう。保有するコスト分の損失が発生してしまうのである。
2つ目の「私的年金」については、入ってくるお金だけでなく、出ていくお金も考慮しなければならない。例えば、30歳のときに新築物件を購入しても、私的年金を当てにする65歳のときには、建物も築35年になる。そのころには屋根や外壁、配管、内装などが古くなり、大規模な修繕をしなくてはならなくなる。つまり、建物が古くなると修繕費が必要となるので、その分の資金が出ていってしまうことになる。修繕費の積立金不足でスラム化したワンルームマンションも多いようだ。