会員が天気情報を写真で送ることができる「ウェザーリポート」を無料化したほか、スマートフォンをかざすだけでその方角の空の写真が確認できる機能、FacebookやTwitterへの共有機能を追加し、ソーシャル化をうたった今回のリニューアル。担当者は「気象情報の革命」と自信を見せたが、App StoreやAndroidマーケットのレビューでは「元に戻して」「改悪」などと星1つの評価が大量に付けられ、炎上状態となってしまった。
そのほかにも、今秋には民間企業では異例の人工衛星を打ち上げる計画を進めたかと思えば、「ブラック企業大賞2012」にノミネートなんてこともあり、何かと話題のウェザーニューズ社。創業27年、有料会員が約160万人いるという民間企業最大の気象情報会社である同社に伺い、石橋知博・取締役と、西祐一郎・開発リーダーを直撃した。
震災がきっかけでリニューアルを断行
――「ウェザーニューズタッチ」をリニューアルしたことで、アプリマーケットのレビュー上で大不評となっています。その理由を聞く前に、まずは今回のリニューアルのコンセプトをお聞かせください。
石橋 我々は空の情報を扱っている気象会社ですが、空そのものをコンテンツ化したいと思い、今回のリニューアルを行いました。画面を立ち上げると位置情報を利用し、「ウェザーリポート」で投稿された周辺の空が六角形の窓から覗けるデザインになっています。現在の空の状態を見れば、次の天気が予想できます。8月21日は大阪で虹が出て、画面が虹の投稿で埋まり、大いに盛り上がりました。
――「ウェザーリポート」の取り組みはいつから行っているのですか?
石橋 もともと、サービス自体は、05年11月から開始していましたが、当初は有料会員のみ投稿できる仕組みでした。誰でも投稿できるとサービスが“荒れる”心配があり、有力な気象情報として活用できないと思ったからです。しかし、東日本大震災の際、とにかく今の日本の状況を記録しなければいけないということで、「減災リポート」という形で無料開放したんです。すると、津波や液状化現象があった場所や帰宅困難地域の情報が大量に集まってきました。その圧倒的な量にも驚きましたが、もっと皆さんにリポートのサービスに触れてもらう機会を増やし、その情報を返していくという循環モデルに大きな可能性を感じました。
西 ほかにも、全国3万人のゲリラ雷雨防衛隊を組織し、会員から寄せられるリポートと気象観測機などのデータを解析して都内の事前捕捉率90%以上を達成した実績もあります。 会員には平均42.4分前にゲリラ雷雨の注意を呼び掛けるメールを送ることができました。そうしたこともあり、今回のアプリリニューアルでリポート制度を一般開放したんです。
――そのような経緯がありながら、なぜ今回のアップデートは不評だったのでしょうか?