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現役人事担当者がセキララ告白「激変する採用現場のリアル」

「転職エージェントを使ってくる時点で不採用」(採用担当者)

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「転職エージェントを使ってくる時点で不採用」(採用担当者)の画像1「Thinkstock」より
【前編はこちら】
『転職エージェント、広告は不要!?外資系企業のスゴい採用』

 グローバルに展開する某大手外資系企業A社。その日本法人では、全国に営業・サポート拠点を持ち、社員数は1000名を優に超えている。

 そのA社は、
 
「外部からの採用は、転職エージェントをほとんど使用しない」

という独自の取り組みを行い、「アクティブに動く人事」「待ちの人材採用から投資効率を意識した人材採用」をポリシーとしている。

 そんな同社の取り組みを推進するB氏に、前回に引き続き、

 「転職エージェントを使用せずに、本当に優秀な人材を採用することができるのか?」
 「採用の現場で、今、何が起こっているのか?」

そして、

 「転職に失敗しないための新常識」

などについて、リアルな採用現場の実態を交えながら、語ってもらった。

ーー具体的に、求人広告やエージェントの情報を、どのようにして得ていますか?

B氏 まずは、求人広告の担当営業やエージェント本人から直接話を聞きます。「求人広告やエージェントは、実際の担当者の優秀さで決める」と言っている人もいますが、それは既に仕事のできない人事の典型です。金魚すくいに行って、店のおじちゃんの愛嬌の良さで決めるのか、水槽の中の金魚の数や質で決めるのか、という話です。あとは同業他社から、○○(エージェントの名前)が最近かなり決めているとかの情報交換を行うことはあります。

 もちろん、「ソーシャルリクルーティング」などの旬のテーマはWebや書籍、必要に応じて勉強会に参加したりして学びますし、実際に自分がサービスを利用してユーザビリティをチェックします。
 
 その他、毎日のように求人広告をチェックすることで、

 「ここは未経験、特に営業の求人が多い」
 「ここはいつもA社の関連会社の求人ばかり出ている」

などの情報を入手できます。また、月曜日はDODA、火曜日はenとマイナビ、水曜日はリクナビNEXTがアップデートするなどと、全ての転職サイトの情報は頭の中に入っていますので、それも毎日チェックしています。

 どんな求人が多いのかで、そのサイトにどのような候補者が多いのかも把握できます。例えば、転職サイトは知名度の違いくらいしかないと見えるかもしれませんが、実際の登録者はまるで違います。若手を狙うのか、エンジニアを狙うのか、バックオフィスを狙うのか、それぞれのニーズに合わせて最適な転職サイトを選ぶ必要があります。これは媒体から提供される具体的な数値と、長年やっている感覚値でしかありません。毎日の地道な活動で養われるものです。

ーーBさんが日々の採用活用で心がけていることは何でしょうか?

B氏 ひとりで多数のポジションの採用を担当していますので、無駄をなくすことが第一です。そのためには、「どのような人材が欲しいのか?」という要件を正確にヒアリングすることが一番大事です。採用の要望を出してきた部門とのミーティングを大切にし、正しい情報交換を行い、ニーズをつかみ、こちらから提案するので、無駄のない採用活動が可能となります。そこでズレがあると、後で修正するのが大変です。そのため、場合により年間の採用計画を見据えながら、事前に裏で採用活動を進めておくということもします。求人がいざオープンになったときには、既に5名の候補者がいる、ということです。

 また、マネージャーの中には「とりあえず10人に会いたい」という人がいます。日本企業出身の人には、特にその傾向が強いかもしれません。気持ちはよくわかるのですが、いざ10人面接を行おうとすると「ごめん。今週は1人しか会えない。来週は2人だ」となり、あっという間に1カ月たってしまいます。その間に、優秀な候補者に逃げられてしまう。ですので、私は、「本当に良い人、5人、できれば3人の書類をお送りするので、その中で決めてほしい。最初から、来週1週間は面接のためにスケジュールを空けておいてほしい」と提案します。

 会社によっては、たとえ候補者が1人しかいなくても、その人が良ければ「採用しろ」という考えを持っているところも少なくありません。10人の面接をするのと、3人とでは、オペレーションの負荷は大きく違います。

ーーお話しをお伺いしていると、人事という仕事に求められるレベルが高まっていると。

B氏 ええ、人事は今までは、待っている仕事でした。言い換えれば、業者に無理難題をふっかけ、やらせる人、偉そうにしている人、というイメージです。「人が欲しい」と部門から言われると、広告会社やエージェントに仕事を右から左に発注するのが仕事でした。しかし、今は人事部門がそうしたことを行う時代ではありません。人事部が自ら候補者にアプローチをかけたり、自分たちで何かイベントを起こすなど、企画を立てることが求められる時代になってきています。今までエージェントが行っていたことを、われわれ人事部門が行う時代です。

 今までアウトソーシングしていたものを、今度は自分たちでやることになるので、効率が悪いと見えるかもしれません。しかし、それは必ずしもそうではありません。

 候補者へのコンタクトを例に挙げましょう。例えば、エージェントが転職サイトに登録している候補者へのスカウトメールを送っても、返信率は数%ですが、われわれが直接スカウトメールを打つと、案件によってはほぼ100%返信があったりします。これは一つの例ですが、候補者と直接コンタクトができることにより、効率的に候補者と会うことができたり、場合によっては辞退を防ぐことにもつながります。ただ、これをやるには営業的な動きが求められるので、待っているだけの人事しかやったことがない人にとっては、かなり厳しい仕事になるでしょう。

ーーBさんから見て、「転職で成功する人」「失敗する人」の違いはなんでしょうか?

B氏 転職は結局、決めるのは最後は自分です。ぶれない軸を持っていることが重要です。

 「前の上司から誘われたので行ってみた」
 「エージェントから声をかけられた」
 「条件が良いから行ってみた」
 
などなど、自分の軸を持たずに転職した結果、「行ってみたらやりたい仕事と違った」「給与は良くなったが仕事はやりたい仕事ではなかった」と失敗するケースが多いのではないでしょうか。

 なので、成功する人は、自分の軸を持ち、自分のキャリアを他人任せにしないことです。例えば弊社に入りたいと強く思っていただいている人でも、エージェントに頼んだ時点で、採用する可能性は消えます。エージェントを通じて紹介されたらNGのポジションが、多くあるからです。そうなると、その人のキャリアはそこで終わりです。これは弊社だけでなく、他の企業もかなりその傾向が強くなっています。

 それよりも、前述した「社員紹介」について、転職を考えている人もいない人も真剣に考える必要があります。社員紹介は非常に強い武器です。なぜかというと「○○さんの紹介だから会ってみよう」と、書類選考のハードルが非常に下がります。もちろん、紹介してくれた社員の顔を潰さないためにも、必ず面接までは約束している企業もあるくらいです。ですから、社員紹介は絶対に使ったほうがいいのです。

BusinessJournal編集部

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