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年末企画 この1年この会社の収支決算III

ソフトバンク孫社長の究極の皮算用 巨額の借金返済に自信あり!?

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 もうひとつの打ち出の小槌はLTEである。ロング・ターム・エボリューションの略。現在主流の3Gに続く、新しい携帯電話の国際標準規格である。3Gより高速の通信ができ、電波の効率も3倍良い。

 日本では10年12月にNTTドコモがサービスを開始した。ソフトバンクとKDDIは今年9月のiPhone5の発売に合わせてサービスを始めた。アップルのiPhone5の出現で、世界中でLTEの普及が格段に進むものと予想されている。LTEの本格的な普及が世界規模の業界再編を後押しするとみて、孫社長は経営不振のスプリントの買収を決断した。

 LTEで大勝負に出たのである。

 だが、スプリントとクリアワイヤともに赤字経営で、多額の有利子負債を抱える。2011年12月連結決算によると、スプリントの長期債務は202億ドル(1兆6160億円)、クリアワイヤのそれは40億ドル(3200億円)に上る。

 ソフトバンクはスプリントとクリアワイヤの債務を背負うことになる。ソフトバンクの有利子負債にスプリント買収の借入金、スプリントとクリアワイヤの長期債務を加えると、グループが抱える借金は、ざっと計算しただけで5兆2732億円。5兆円の大台を突破する。現在の有利子負債の3.1倍だ。

 孫社長はボーダフォン買収を引き合いに出して、借入金の返済に「自信がある」と語っている。とはいっても、ボーダフォンの時とは状況が異なる。巨額赤字を垂れ流し続けているスプリントとクリアワイヤの再建には、資金面での追加支援が不可欠になるだろう。この資金手当てはどうするのだろうか?

 しかもLTEがiPhoneのようにカネのなる木に育つという保証はどこにもない。LTEは、はたして2匹目のドジョウに大化けするのだろうか?

 終わりにこんな話を。米国系の投資会社、キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニー(カリフォルニア州)がソフトバンク株式を10%超まで買い増した。孫社長が筆頭株主で、およそ2割を保有しているが、成長株を中長期で保有することで知られる米キャピタルがソフトバンクに強い関心を示している証拠だ。スプリント・ネクステルの買収でソフトバンクの海外での知名度が高まり、外国人投資家が同社株式を買い始めた、との分析もある。

 12月10日現在の、米キャピタルの持ち株比率は10.41%。「純投資」と説明している。12年9月末の外国人の持ち株比率は38.8%。その後、さらに上昇している可能性がある。(敬称略)
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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