■普及するスマートTVだが
iPhone、Androidなどスマートフォンは現在でも大流行だが、同じように名前に「スマート」がつくスマートTVについては、最近ではあまり聞かなくなった。「スマートTVとは何か?」という定義も確定しているわけではなく、現時点では、ビデオ・オン・デマンド(VOD)やスマートフォンのアプリなどを使って、ユーザーがいろいろな機能を追加できる多機能テレビというようなニュアンスになっている。
ちなみに、VODというのは、ブロードバンド回線でビデオコンテンツを見ることができるサービスで、レンタルビデオのブロードバンド版といえる。「Hulu」や「U-NEXT」「アクトビラ」などのサービスがこれに当たり、日本でもかなり普及が進んでいる。
最近の日本におけるテレビのメインストリーム機種では、実はVODやアプリで機能を追加することができる。テレビでツイッターやFacebookなどのSNSを楽しめるようになっているのだ。そう、日本の主流テレビでは、すでにスマートTV化が進んでいるのだ。
しかし、そこで疑問を持つ人もいるだろう。パソコンなどは1〜2年で処理能力が倍に進化してしまうため、その処理能力は、購入から3年もするとかなり陳腐化してしまう。これに対して、テレビは一度買えばある程度長期間使うことになるので、機能的にすぐに時代遅れになってしまうのではないか? スマートTVは大丈夫なのか? という疑問だ。実際、一部の海外のスマートTVはそれに備え、オプションによって処理を高速化することができるようになっていたりする。
■クラウドって何?
そんな状況のなかで、テレビをロングライフ化する可能性を持っているのが「クラウド」技術の利用だ。クラウドとは、最近のパソコンなどでもよく聞く言葉だが、端末側ではなく、インターネットで接続されたサーバー上で処理をするというもの。データを保存するためのDropboxのようなオンラインストレージが有名だが、翻訳機能やWebブラウザで使えるワープロや表計算機能、ビデオのエンコーディングなど、さまざまな機能を提供するサービスがある。
このクラウドを実現させているのが、データの高速通信が可能なブロードバンド回線だ。サーバー側で処理を行い、それを素早くユーザー側に転送することができる。このクラウド技術の利点は、重い処理をサーバー側で行うことで、ユーザーの使っている機器自体が持つ性能以上の処理ができることだ。
パナソニックの薄型テレビ「VIERA」は「ビエラ・コネクト」機能にクラウド機能を取り入れている。このビエラ・コネクトは、さまざまなアプリを実行できるスマートTV的な機能で、アプリの処理をテレビ本体ではなくクラウド側で行うようになっているため、テレビの処理能力に頼らず処理ができ、より長期間使用することができる。
■ゲームもクラウドで可能になる時代
そして、最近ではさらに、処理の重い3Dゲームをもクラウドで実行することが現実的になってきている。一昔前なら、テレビにつながったゲーム機で3Dゲームをプレイするだけで感動していたものだが、「それがクラウドで実現できるのか?」と思う人もいるだろう。現在、このクラウドゲーミングを現実のものにしている技術が、あのGPU(Graphics Processing Unit:画像処理プロセッサ)で有名なメーカーのNVIDIAの「GRID」だ。