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なぜ卵子無料提供に100人応募? 話題の支援団体代表に聞く、不妊治療の今

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なぜ卵子無料提供に100人応募? 話題の支援団体代表に聞く、不妊治療の今の画像1卵子提供登録支援団体「OD-NET」
のHPより
「お子さんに恵まれないご夫婦のために、卵子を提供していただける方を探しています」

 この呼びかけに、いったいどれだけの人が応じたと思うだろうか? 

「1月15日の募集初日で、申し込み希望が41人。2日後には100人を超えました」

 こう声を弾ませるのは、日本初の卵子提供登録支援団体「OD-NET」代表の岸本佐智子さん。OD-NETは若くして卵巣機能が失われる「ターナー症候群」や、月経が止まってしまう「早発閉経」などの患者に、卵子提供による体外受精を仲介する団体である。ターナー症候群の娘を持つ岸本さんが「同じ病気のある女性に、新しい選択肢をつくりたい」と会を発足。全国5つの医療機関と協力して、卵子提供者(ドナー)の募集と体外受精の実施を目指す。

 卵子提供による体外受精といえば、自民党の野田聖子議員を思い出す人も多いのではないだろうか。日本国内では生殖医療の可否を定める法律がないため、アメリカに渡って卵子提供による体外受精を受けた。有償の斡旋業者を利用しているが、こうした業者を介する場合、卵子ドナーは数十万~数百万円と高額の謝礼を受け取る。

 しかし、OD-NETで募集する卵子ドナーは無報酬のボランティアだ。それでも名乗りを上げた100人超の女性たちとは、いったいどんな人なのか?

 岸本さんが打ち明ける。

「もともと不妊治療を受けていた女性からの連絡が多かったですね。ご主人の精子に問題があって不妊治療を受けていた方も数人いらっしゃいます。『自分が大変だった分、今苦しんでいる人の役に立てたら』という善意が動機のようです。その崇高な気持ちは大切にしたいと思います」

●卵子ドナーの条件とは?

 ここで、卵子が原因の不妊症だった女性は、果たして卵子ドナーになれるのか? という素朴な疑問が生じる。OD-NETの協力医療機関「広島HARTクリニック」理事長の高橋克彦医師に聞いた。

「不妊治療を受けていたとしても、一概に卵子が提供できないとは限りません。不妊にはさまざまな原因があり、例えば卵管だけに問題があるケースでは、卵子は正常です。体外受精をすれば、すぐ妊娠することも考えられます」

 OD-NETでは、ドナーの条件に「35歳未満で、すでに子のいる成人女性であること」などを挙げているが、応募者の中には条件に合致しない女性も含まれるそうだ。高橋医師は「ドナーの適否に関しては、今後、個別に検討していきます」と言う。

 では、卵子提供による体外受精を受ける側(レシピエント)は、どんな人たちか?

 OD-NETが掲げるレシピエントの条件は「医師によって、卵子がないと診断された女性」かつ「登録申請時40歳未満であること」などである。つまり、加齢によって妊娠しにくくなった女性は対象外だ。「ドナーとなって下さる方が少ないうちは、卵巣機能不全や早発閉経などで妊娠できない方を優先したいと思っています」(岸本さん)というのが理由である。

 現在のところは、すでに協力医療機関で治療を受けていた20人の女性に限定されているが、ゆくゆくは一般受付も開始する構想だ。レシピエントになるには、OD-NET協力医療機関の医師による審査を受け、「JISART」(ジスアート)の倫理委員会に諮ることになる。

 JISARTは生殖医療に積極的な医師らによる民間団体で、独自にガイドラインを定めている。そこでは、卵子提供による体外受精を受ける人の条件を「夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など、生まれてくる子供を安定して養育していくことができる法律上の夫婦に限って提供を受けられること」としている。このうち“経済状況”の文字は目を引くが、高橋医師はこう解説する。

「通常の(夫婦間の)体外受精でも40~50万円ほどの費用がかかり、JISARTの倫理委員会に諮ると審査費用や審査委員の交通費等も発生し、全部で100万円ほどかかります。経済的に困窮しているご夫婦は、最初から体外受精を受けることができないのが実情です。むしろ問題になるのは健康状態。とりわけ精神状態ですね。レシピエントを希望されるご夫婦には心理テストを行い、それぞれの生い立ちも伺いますが、残念ながら不適となった例もあります。うつ病の通院歴が長かったり、なんらかのトラウマを持っていたりするケースでは、難しいですね」

BusinessJournal編集部

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