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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(4月第3週)

実は売れてない!? ヨイショ記事で不動産バブルをあおるメディアの狙いは広告費

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いつ買うの? 今でしょ!? は信じちゃダメ?
(「Thinkstock」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「ダイヤモンド」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

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「週刊ダイヤモンド 4/20号」の特集は『今、買うならこれだ! マル得マンション』。「リーマンショックに伴う販売不振で、暗いトンネルに迷い込んでいたマンション業界。大きく潮目が変わったのは安倍政権の誕生だ。超低金利やインフレ期待によって買い時感が盛り上がり、モデルルームは大盛況。バブルの様相さえ見せている。しかし、高まるムードに乗せられて購入すれば泣きを見る。後悔しないためには正しい知識と冷静な視点が必要だ」という特集だ。

 『Prologue 動き始めたマンション』では、まず日本人富裕層が、2月に入り、台湾や香港、シンガポールなどの外国人富裕層がマンション購入に動き出している現状をレポートしている。

『Part 1 お得な優良物件を探せ』では、駅によっては明暗がくっきり。資産価値や物件のスペックなど様々な角度から買うべき物件を「新築マンション100物件ランキング」といった形で紹介している。『Part2 復活する中古マンション』では、中古マンション市場の動向と物件選びのポイントを紹介している。

 ダイヤモンド本誌自体で見れば、マンションに関する特集は2011年6/11号『マンション・住宅の新常識』以来、約2年ぶりとなるが、経済誌ウォッチャーからみれば、「また不動産特集かよ」とツッコミをいれずにいられない。別冊では 1/20号『新築・マンション・戸建て「究極」の住宅選び 2013完全ガイド』、4/28号『[新築]マンション・戸建て 購入完全ガイド 2013年春』と今年だけでも2冊出ているのだ。

 これらの別冊は、業界からの広告が入るために雑誌メディアとしては美味しいビジネス。当然ながら、広告に依存しているために、別冊だけでなく、本誌の特集でも批判的な記述はほとんどなくなってしまう。新築マンションは「(プチバブルの)06年ごろの手ごたえと似ている」「完売続きで購入意欲は高まっている」。中古マンションは「今のところ中古価格は横ばいながらも、上昇に転じる気配も」といった煽り記事ばかりなのだ。

 住宅ローンが終わった30年後には日本は空き家ばかりの人口減少社会を迎えているといった警鐘がない。

 煽り記事は、現実とはかけ離れた印象が強い。たとえば「住宅ローン金利はむしろ低下傾向を強めるだろう。だが将来的に物価が上れば長期金利も上昇に転じる可能性が高く、歴史的な低金利を享受できるチャンスは今しかないとのムードが高まっている」などと買い急ぎを煽っているが、アベノミクス(安倍自民党政権の経済政策)の異次元金融緩和を続ける限り、低金利政策は維持される。低金利が維持されなければ、国債価格が暴落する国債ショックに見舞われ、海外投資家の投資資金は一気に引き上げられるだろう。つまり、アベノミクスは国債を買い続け、低金利が続くことが前提なのだ。

 この特集はアベノミクスがマンション買いと直接関係があると解説しているが、それすらも疑問符がつく。実際、専門家の中には、アベノミクスと今回の富裕層の不動産購入の動きはほとんど関係がないと指摘する声もある。富裕層は増税予定の消費税と改正された相続税対策のために不動産購入に走っている。収益不動産は相続税評価を下げることができるうえに、1億円以上するマンションは消費増税分が大きく影響を与えるからだ。

 だからこそ、今、買おうという動きがあるにすぎない。たしかに「期待」先行型のアベノミクスでは説明できないのが今回の富裕層の不動産購入の動きなのだ。

 私の周辺でも住宅関係の特集を組んだ雑誌や単行本が軒並み期待外れに終わっているという話ばかり聞く。つまり、多くの消費者は不動産購入に動いておらず、相続税対策で富裕層が動き出し、海外投資家がバブルの波に乗ろうと物件を買いに入っているということにすぎない……というのが、現状ではないだろうか。

 だとしたら、どうしてもマンションが欲しい人は、数カ月(数年後?)、プチバブルが終わり、海外投資家が安値で手放す物件を買い叩けばいい。その時が本当の買い時だ。しかも、個人間の中古の売買であれば消費税はかからないので、消費税増税のタイミングとも無関係に取引できる。

 もし、今、不動産を買おうとしている人がいれば、まさに04年から08年にかけてのプチstrong>バブルに高値で買わされた現在の30代~40代の失敗を繰り返すことになる(今、銀行に駆け込んでいる人々は「買う」人ではなく、プチバブル時代に買った層が低金利の借り換えに動いているだけではないか)。

 ただし、ひとつだけ、役に立つ記事がある。私はどちらかといえば、マンションは新築ではなく中古を勧めるスタンスだが、中古に関する記事で役立つ記事があった。記事『無料で中古物件を保証する リバブルの仲介サービスが人気』によれば、あっせんした中古物件に問題が発生した際に無料で補修する不動産仲介大手の東急リバブルのサービスが話題を呼んでいる。12年10月から始めた「リバブル安心保証」は、これまでは最長でも2~3カ月しか保証されない中古物件の欠陥を1年間保証するという。

 雨洩り、給排水管の故障やシロアリによる被害まで保証する画期的な試みに他社からは「余計なことをして」とブーイングの嵐だが、そんな他社も追随の動きを見せ始めているという。中古物件の最大の懸念は不動産業者に欠陥住宅をつかまされるのではないかという「情報の非対称性」の問題だが、こういった取り組みがそうした問題を徐々に解決してくれることを願ってやまない。
(文=松井克明/CFP)

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BusinessJournal編集部

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