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ネットベンチャー、大手老舗レコード・コロムビア買収の狙いは?岐路に立つ音楽業界の行方

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「日本コロムビア HP」より
 老舗の名門音楽レコード会社をネットベンチャーが買収--。時代の移ろいを映し出すM&A(買収・合併)となった。

 携帯電話向けコンテンツ配信を手掛ける東証1部上場のフェイス(京都市)は、老舗レコード会社である東証1部上場の日本コロムビア(東京・港区)の株式をTOB(株式公開買い付け)で取得し子会社にする。フェイスは現在、コロムビア株式の32.9%を保有する筆頭株主であり、TOBで60%まで買い増す。買い付け価格は1株当たり780円で、期間は3月18日まで。買収額は28億8000万円になる。コロムビアは上場を維持し、経営体制も変わらない。

 フェイスは1992年10月に設立され、世界で初めて携帯電話の「着信メロディ」を考案・実用化したベンチャー企業だ。2001年に株式を店頭公開し、02年には東証1部に上場を果たした。事業の多角化を進め、03年にジャスダック上場のゲーム向け電子マネーの運営会社ウェブマネーを買収し、電子決済サービスに進出した。

 収益源だった着メロ事業が落ち込み、赤字経営が続くなか、アーティストのライブなどを活用したコンテンツを制作し、携帯電話に配信する仕組みを強化していた。財務体質の改善とコンテンツビジネスへの先行投資、さらにはM&Aの資金づくりのために11年にウェブマネーをKDDIに売却。この売却に伴い、12年3月期に76億円の特別利益が発生した。ウェブマネーは11年10月に上場廃止になった。

 収益部門のウェブマネーを手放したことで、11年3月期に841億円あった売り上げは、14年3月期には67億円に減る見込み。売り上げは10分の1以下に落ち込むが、自己資本比率は92.8%、利益剰余金145億円(13年12月末時点)もあるキャッシュリッチ企業に生まれ変わった。数ある上場企業の中で利益剰余金が時価総額(126億円=3月3日時点)を上回るという稀有な会社になった。投資家にとって、これほど美味しい銘柄はない。筆頭株主は創業者である平澤創社長の39.6%で、投資ファンド・レノ(東京・港区)が7.46%を保有する第2位の株主として登場した(13年9月末時点)。

 フェイスは、音楽ライブの市場拡大やアジアなど海外への配信に活路を見いだそうとしている。約16万の楽曲を抱えるコロムビアを子会社にすることで、携帯電話向けの音楽配信サービスを強化する狙いがある。

●売り上げ減続く日本コロムビア

 日本コロムビアは2月、佐村河内守氏の名義で発売されたCD『交響曲第1番 HIROSHIMA』のゴールドディスク認定を辞退した。ゴールドディスクは10万枚以上売れた作品を認定するもので、『HIROSHIMA』は11年7月に発売され、累計14万7000枚(オリコン調べ)を売り上げていた。クラシックとして異例のヒットを続けていただけに、同社にとって影響は大きい。