日本コロムビアは1910年10月、日本蓄音機商会として設立された日本で最古のレコード会社で、創業当時から米コロムビア・レコードと提携関係にあった。昭和期は美空ひばり、島倉千代子、石川さゆり、都はるみ、藤山一郎、舟木一夫らの演歌・歌謡曲の大物歌手が多数所属する黄金時代を迎えたが、平成期に入ると若者に人気のJ-POPで出遅れたことと、ドル箱だった演歌・歌謡曲部門も氷川きよし以外はヒット曲に恵まれず経営不振に陥った。演歌歌手も他のレコード会社に相次いで移籍した。
日本コロムビアは長きにわたって日立製作所が筆頭株主だったが、01年5月、日立と主力銀行の旧第一勧業銀行の意向で、経営権を企業再生ファンド・リップルウッド(現RHJインターナショナル)に譲渡した。02年10月、商号をコロムビアミュージックエンターテインメントに変更し、赤坂本社や子会社の売却などのリストラを進めた。その後、10年1月、フェイスがRHJからコロムビアの31.3%の株式を取得し、フェイスは筆頭株主となり持分法適用会社に組み入れ、社名を日本コロムビアに戻した。この間、日立は保有していたコロムビア株式を除々に減らし、11年3月末で大株主の欄から姿を消した。
1990年代前半に1200億円を上げていたコロムビアの売り上げは毎年減り続け、14年3月期の売り上げの見込みは150億円。かつての1割強の水準まで落ち込んだ。同期は1株4円の配当を予定しており、実に16期ぶりの復配となる。
国内の音楽市場は98年をピークに落ち込んでいる。CD販売や音楽配信をめぐる環境は厳しく、楽曲をダウンロードする着メロが人気を得ていた時期もあったが、スマートフォン(スマホ)の普及により利用者は減少傾向にある。
13年4月には業界最大手のユニバーサルミュージックがEMIミュージック・ジャパンを吸収合併した。ユニバーサルには福山雅治、EMIには松任谷由実や矢沢永吉が所属している。これに続くのがフェイスによる日本コロムビアの子会社化だ。現状ではレコード会社の数が多く、今後、さらに再編が進むとみられている。
(文=編集部)
【続報】
フェイスは3月19日、日本コロムビアへのTOB(株式公開買い付け)が終了したと発表した。応募のあった239万378株を全株買い付ける。フェイスが保有する日本コロムビア株式の比率は、議決権ベースで32.91%から50.44%に高まる。株式取得額は18億6400万円で、日本コロムビアは3月26日付でフェイスの連結子会社となる。