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日本電産、“変わり続ける”経営で最高益 果敢な構造改革と連邦経営脱却で「1兆円」視野

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日本電産本社(「Wikipedia」より/Jo)
 電子部品大手の日本電産が4月22日に発表した2014年3月期連結決算は、売上高が前期比23.4%増の8752億円、最終利益が同7.1倍増の564億円で、いずれも過去最高を記録した。本業の儲けを示す営業利益も同4.8倍増の851億円となった。自動車用と家電用モータの売り上げが伸びたほか、主力の精密小型モータも前期に進めた生産効率化の効果が業績を押し上げた。

 15年3月期の連結業績は、売上高が8.6%増の9500億円、営業利益が17.6%増の1000億円、最終利益が15.2%増の650億円の予想を示した。しかし、同社は「これはかなり控えめな数字」と述べ、期中の上方修正の可能性を示唆した。

 また翌23日に開催した決算説明会で同社は、16年3月期に売上高1兆2000億円を目指すとの目標を示すと共に、「重点2事業」としている車載(自動車電装部品)部門と家電・商業・産業用部門の売り上げ比率を14年3月期の40%から16年3月期は50%へ引き上げ、精密小型モータ部門33%、車載部門25%、家電・商業・産業用部門25%、その他部門17%の4本柱からなる安定した事業ポートフォリオに転換するとの経営計画を示した。これについて、永守重信社長は「売上高1兆円超えは悲願ではなく、単なる通過点。当社は14年3月期から『第2次高度成長期』に入っている。本当の悲願は売上高10兆円」と、今後の成長に自信を示した。

●収益構造転換と、コスト削減のシステム化

 永守社長の自信には2つの根拠があった。

 1つ目は収益構造転換の成功。精密小型モータ部門の主力事業であるHDD(ハードディスク駆動装置)用モータは、パソコン市場縮小の煽りで採算性が悪化し、13年3月期第4四半期(13年1-3月)の連結営業赤字の主因となった。同社は直ちにHDD用モータ事業の縮小と生産効率化を実施し、この迅速な対応で精密小型モータ部門の14年3月期第2四半期(13年7-9月)の営業利益は、同第1四半期(13年4-6月)比約20%増を確保した。

 その一方で、車載用や家電用モータの売上高と営業利益も伸びた。HDD用モータ事業で削減した開発、製造、販売などの経営資源を、車載・家電用事業に振り替え投入した結果だ。

 2つ目はコスト削減のシステム化。コスト削減というと、ともすればリストラの手段として緊急的に行われるのが通例だが、同社の場合は事業活動の中にコスト削減の仕組みを導入、システム的にコスト削減をしているのが特徴といえる。その仕組みが「Kプロ」「Mプロ」と呼ばれているもので、08年のリーマンショック克服の過程で確立されたコスト削減策だ。

 Kプロとは人件費、材料費などの直接経費以外の間接経費、すなわち事務用品費、通信費、出張費、交際費などを削減するプロジェクトのこと。売上高1億円当たり500万円という厳しい削減目標を設定してあり、これを社員提案などによって現場サイドで無駄を洗い出し、「経費の贅肉」を削ぎ落としてゆく。

 Mプロとは資材費削減プロジェクトのことだが、資材調達先などに値引き要求をするような単純な資材費削減策ではなく、次の3点となっている。1つ目は、複数の資材調達先の中から供給力の高い1社を選んで調達量を増やし、調達価格を引き下げる。2つ目は、世界中から、より低価格の資材を探し出す。3つ目は、生産効率性を高めるため設計や製造法を見直し、少ない資材で製造できるようにする。このほか、設備投資においても、グループ内で遊休生産設備や生産余力の有無に関する情報交換を行い、グループ会社間で設備やラインを融通し合うなど、新規設備投資を極力抑える工夫をしている。