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ニコンの憂鬱 カメラ市場縮小深刻化で、医療事業参入に巨額投資、市場から厳しい評価

文=福井晋/フリーライター

 対して、ライバルのキヤノンのカメラ関連事業依存度は約26%、富士フイルムに至っては10%を割っている。

●医療事業立ち上げのM&A戦略

 ニコン関係者は「この異常な依存度からくる危機感が、『カメラに代わる成長事業を探せ。それなら当社の微細化技術を生かせる成長株のiPS細胞だ』と言う流れで、経営陣を未知の医療事業へ走らせた」と、内情を明かす。

 この医療事業を牛田社長は「従来の自前主義ではなく、M&Aや資本・業務提携で迅速に育てる」と明言。そのために、金融と医療業界に精通したM&A専門チームを早急に立ち上げる考えを示している。しかし、ニコンは過去にM&Aの実績は乏しく、「そのことに危うさを感じている」と語るM&A仲介大手関係者は、次のように「これからニコンがくぐり抜けなければならない関門」を指摘する。

 1つ目は買収案件。医療事業でほとんど実績のないニコンに、投資銀行や仲介業者から優良な案件が回ってくる可能性は低い。

 2つ目はデューデリジェンス(買収企業の資産価値評価)能力。買収案件のデューデリジェンスを投資銀行や仲介業者任せにしていると、きずもの案件を高値でつかまされてしまう。大手企業といえども、これでM&Aに失敗する例は後を絶たない。

 3つ目が買収企業の活用ノウハウ。仮に優良案件を獲得しても、ニコン側に買収先の人材・知財などをうまく生かすノウハウがなければ、単なるお荷物を背負い込むだけの結果になる。

 ニコンが自信満々で市場に示した新中計。しかし、「その実効性を検証してみると多くの疑問を感じざるを得ず、これでは市場が納得しないのも無理がない」と証券アナリストの一人は指摘する。

 一方、業界関係者は「新中計は、要するにカメラ事業の現状維持を図り、それで稼いだ利益を医療事業へ集中投資するというシナリオ。だが、カメラ市場が縮小スピードを強めている中で、そんな都合のよいシナリオが成立するのか。まして牛田社長はカメラ事業の経験がないトップ」と懸念を隠さない。

 ニコンの新中計は、これから4半期ごとに市場から評価が下される。6月末に就任したばかりの牛田新社長にとって、厳しい船出となった。
(文=福井晋/フリーライター)

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