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安倍首相、消費増税めぐる財務省の政界工作を示唆 省益優先で不況下に緊縮財政の罪

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財務省(「Wikipedia」より/っ)
 11月30日、各党代表が出演したテレビ番組『新報道2001』(フジテレビ系)内で安倍晋三首相は、キャスターの「(衆議院)解散の理由は財務省による消費増税包囲網を打開するため、という見方があるが、その真意は」という質問に対して、以下の2点を述べた。

 ひとつは理念的な理由ともいえるが、来年10月に予定していた8%から10%への消費再増税を2017年4月へ先送りし、総選挙でその信を国民に問うというものだ。さらに「現実論として」と断ったうえで、「財務省が『善意』ではあるが、すごい勢いで(消費再増税にむけて)対処しているから党内全体がその雰囲気だった」と明かし、その「勢い」を転換することが必要だったと述べた。事実上、キャスターの問いを肯定するものだった。

 財務省が消費増税について政治家に対する説得工作を行っていることは、これまで多くの識者やマスコミにより言及されてきた。だが、その影響力が選挙なしでは払拭できないほど政治を浸食していることが、時の首相の口から出たことは極めて重大であるし、また興味深い事実でもある。

 1998年に発覚した旧大蔵省接待汚職による世間からの猛烈なバッシング、その後の大蔵省分割・再編を経て、財務省の政治家・マスコミ・業界団体などへの説得工作はステルス化(隠密化)したと指摘されている。例えば「アベノミクスを成功させる会」(会長・山本幸三衆院議員)の参加者切り崩し工作が最近では有名だ。同会は消費再増税を延期させることが真の目的で、当初の参加者は45名だったが、財務省職員の熱心な「ご説明」を受けて半月後には会合出席者が3分の1に激減してしまった。また、財務省は与党幹部や有力政治家への「ご説明」に人材を配分して熱心に行い、政治家を再増税賛成に取り込んでいく手法もみられた。

 これらは氷山の一角であり、財務省の政治工作の全貌は国民の目からはまったくみえない。そして特定の政策を実現するために動く財務省は、すでに国会内の見えざる大政党として機能している。

●財務省の「善意」


 ところでこのような財務省の「善意」は、どのような動機で行われているのだろうか。例えば財政再建を実現して国益に資するという意味での「善意」なのだろうか。

「そうではない」という結論を、多くの経済学者たちは導いている。著名な公共経済学者・柴田弘文氏は、財務省が不況時に限ってなぜ緊縮財政のスタンスに固執するかを解明した。財務省の予算編成に関わる部局は、できるだけ自由裁量的な予算を獲得しようとする。その理由は将来の天下り先への影響、財務省の他省庁に対する優位の確保などの「省益」がその根本的な理由だ。しかし、不況になると税収減によって予算総額が圧縮されるため、そのような自由裁量の余地が難しくなる。加えて国債発行増額への要求は自然と高まる。