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小笠原泰『生き残るためには急速に変わらざるを得ない企業』(1月2日)

業界順位に意味はあるのか?正社員は特別、と考える日本の異常さ、世界市場での衰退招く

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「Thinkstock」より
 前回の連載で、急速に加速化する技術進歩と融合したグローバリゼーションという環境の中における企業国家と個人の関係は、「生き残るためには急速に変わらざるを得ないことを理解し、変身するであろう合理的な企業」と「変わりたくないと悪あがきする国家」、その狭間で「リスクテイクの判断を迫られる、変わらなければいけない個人」といった構図になっていると述べた。繰り返すが、企業は国家や個人とは違い、本来は極めて合理的な存在であるはずだ。

 翻って、日本の企業を取り巻く状況に目を向けると、日本国内には高齢者関連、特に高齢者向けの医療・介護とアジア人頼みの限定的な観光関連業以外に成長の可能性のある市場は見当たらない。

 企業は合理的な存在であるので、大企業に限らず成長を志向する多くの日本企業は、海外市場に目を向け自らグローバル化した不確実性が高い経営環境に身を置き、その適応を通してマネジメントも含めて大きく企業体質を転換していくことになるであろう。この転換は企業ごとに異なるはずであるし、異なるべきである。その中に、日本市場にとどまるという選択肢も含め、多岐にわたる生き残りの形態が考えられるが、領域によって日本型組織の特徴が維持できる程度は異なる。

 つまり、日本型組織としてクルマづくりに固執しているトヨタ自動車、日本型にもはや固執していない日産自動車、クルマづくりに必ずしも固執しない本田技研工業が業界の1位、2位、3位ということは大きな意味を持たなくなっているという状況が、他の業種でも当たり前のようになるであろう。そもそも、業界何位という仲間・横並びの認識は機能しなくなる。

●「変える意志と変わる勇気」と「変わらない選択と変えない忍耐」


 日本企業のトップマネジメントには、「変える意志と変わる勇気」と「変わらない選択と変えない忍耐」の違いを理解し、現場力(日本企業の得意とするプロセス主導の迅速なインプリメンテーション力<意思決定より実行が優位のこと>)を口実に決断を避けるのではなく、果敢な経営判断をすることが求められる。つまり、環境変化の程度と速度は高まると思うべきであり、独哲学者フリードリヒ・ニーチェの言ではないが、「脱皮をしない蛇は死ぬ」と心得るべきであろう。しかし、制度変更ではなくプロセスの変化を通して漸次に変わっていくことを得意とする日本型企業にとって、加速的にグローバル化する経営環境の中での脱皮は時間との勝負となる。不確実な環境下での決断に当たっては、下記の観点を考慮する必要があろう。