謝らなければいけない場面は誰もが経験したことがあるだろう。失敗はどんなに優秀な人でもしてしまうもの。やってしまったことは取り消せないが、そのときの謝り方で、その後の人間関係がうまくいくかどうかは決まる。
謝るときに、その人の人間性が見える。そして、一流と呼ばれる人は謝るのがうまいのだ。
『なぜ一流の人は謝るのがうまいのか』(野呂エイシロウ/著、SBクリエイティブ/刊)は、プライドが邪魔をして謝れないなど、ビジネスパーソンが思い当たるであろう「落とし穴」を指摘しながら、相手から評価され、抜擢されるコツを紹介した一冊だ。
戦略的PRコンサルタントであり放送作家の野呂氏は、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』『ザ! 鉄腕DASH!!』『奇跡体験アンビリバボー』などの人気番組にたずさわり、放送作家として、浮き沈みの激しい芸能界で、生き残る人のふるまいを見てきた。
そんな野呂氏が見つけた人間関係のスキルが「謝る」ことだったのだ。
本書の中で、野呂氏は「謝って成功できる人」の7つの共通点をあげているが、ここではその中からいくつか挙げていこう。
まずは、「一流はあえて遅刻する」こと。遅刻はNGが世の中の常識だ。しかし、あえて遅れて行く。なぜ遅刻するのか。それで謝ることができるからだ。例えば、デートのときも謝罪からスタートすることが大切なのだ。もし、先方が遅れそうなら、さらに自分は遅れて行く。そうすることで、相手は「まだ来てない。あーよかった!」と喜ぶはず。そして、「ごめん、ごめん、遅れて」と見計らって登場する。遅刻することで相手が喜ぶシチュエーションをつくることができるのだ。あえて100点満点にしないことがデートだけでなく、ビジネスでも円滑なコミュニケーションをつくることができる。
「謝罪にスピード違反はない」ことも覚えておきたい。社長が謝罪を行うときに優先すべきはスピード。「事情が判明してから会見します」ではいけない。「謝るのが早すぎるだろう」と思われるような会社を目指すべきなのだ。
また、「トヨタに学ぶ世界で評価される秘訣」も大事だ。トヨタの豊田章男社長は、就任早々にアメリカで大規模リコール問題の試練にぶちあたる。アメリカの公聴会では忽然とした態度で謝罪し、米国トヨタの工場、ディーラー関係者の会合では声をつまらせ涙ぐんだ姿を見せた。これが世界中のトヨタマンの心をつかんだ。株価や為替のせいで利益が圧迫されましたとは絶対に言わない。それを読めなかった自分たちの責任だからと言う。起きることはすべて自分の責任と考えておくことが重要なのだ。
問題が起きたとき、失敗をしたとき、言い訳したい気持ちをこらえて、うまく謝ることができるか。真摯に謝ることができるか。そういったことを相手は見て、自分の人間性を判断している。「謝る」ことがうまくなれば、仕事も人間関係も今まで以上に、いいものになるはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。