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ワーク・ライフ・ハピネス 第3回

超ハピネス企業、なぜ突然ブラック企業に転落…仕事の効率向上施策が業績悪化を招く理由

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「Thinkstock」より
 あなたは、こんな企業をどう思うだろうか。社員が休み時間もなく夜遅くまで働き、必要とあらば土日も出社し、残業代がすべて支給されるわけではない。経営理念を社員全員が覚え、社長が示す将来ビジョンに誰も文句を言わない。「間違いなくブラック企業だ」と思う読者も多いのではないだろうか。しかし、それは大きな間違いである。一方的な見方にすぎないのだ。
 
 年中ガムシャラに働きながらも、社員の目がキラキラ光っている会社がある。労働量から見ればブラック企業に引けを取らないのに、社員はモチベーションが高く、企業に貢献することを惜しまない。「ブラック企業」という言葉がある一方、このように社員がイキイキと働く企業を表すワードが見つからないのも不思議である。

 今年の2月に発売され話題となっている書籍『実践 ワーク・ライフ・ハピネス2』(監修:藤原直哉 著者:阿部重利、榎本恵一/万来舎刊)では、社員が働くことを楽しんでいる企業を「ハピネスな会社」と定義している。筆者はこの定義が最も適していると考える。

 筆者はこれまで多くの企業を取材してきたが、その中にはまさに「ハピネスな会社」があった一方、その真逆な「ブラックな会社」も多くあった。その違いはなんだったのか。事例を挙げながら述べてみたい。

「ハピネスな会社」を体現するベンチャー企業

 ここで紹介するのは、某ベンチャー企業である。2005年当時、社員80名だったこの企業は、上場も目指せるほど勢いよく業績が伸びていた。筆者が社員に取材したところ、誰からも同じような答えが返ってきた。「当社の社員は、みんな幸せです。会社の悪口を言う人を聞いたことがありません」

 まさかそんな会社があるわけない、社員はそう言わされているだけだろう、と筆者は疑問に思い、しばらく会社を取材し続けたが、社員は本音を語っていることがわかった。まさに「ハピネスな会社」だったのだ。
 
 この会社の特徴は、なんといってもカリスマ性のある創業社長にあった。社長は毎日のように未来の夢を語り、その言葉に社員全員が魅了されていた。社長自ら営業に動き、社内のどの営業マンよりも大型の契約を取り、大きな夢が実現することを証明していた。「そのうちに(大企業の)○○社と一緒に仕事をすることになる」などと大風呂敷を広げては、それを次々に実現していた。幹部社員も社長の夢を継承すべく、いつも部下に会社が目指す夢を語っていた。「日本から世界へ飛び出し、この分野で世界一の会社となる」という社長の夢に共感し、社員全員がその夢に向かってガムシャラに働いていたのだ。