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町田徹「見たくない日本的現実」

GDPプラス転換はアベノミクスの手柄ではない 消費増税の深刻な後遺症、所得改善の嘘

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 内閣府が先週(2月16日)発表した2014年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値で、物価変動の影響を除く実質の季節調整値の伸び率が前期比0.6%増(年率換算2.2%増)に浮上した。GDPの実質伸び率がプラスに転じたのは、消費増税後初めてのことである。新聞報道によると、政府では甘利明経済再生担当大臣がこの発表を受けて記者会見し、「雇用・所得環境が引き続き改善し、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれる」と胸を張り、アベノミクスの手柄と言わんばかりだったという。

 しかし、宣伝上手の政府の言葉を鵜呑みにして、手放しで喜ぶのは禁物だ。そもそも政府は、消費増税の影響を「あっても軽微だ」と言っていたにもかかわらず、実際の経済は2期連続のマイナス成長に落ち込んだ。多くのエコノミストが昨年7-9月から景気が回復すると分析していたにもかかわらず、その回復は約3カ月後ろにずれ込んだ例もある。

 今回は、実際の問題として、新年度の経済をどう読むべきなのか。経済全体の動向を大きく左右する国民の賃金は上がるのかを含めて、しっかりと考えてみよう。

●GDPプラス転換の立役者

グラフ1「実質GDPの伸び率」

 グラフ1「実質GDPの伸び率」をみていただきたい。内閣府が公表した実質GDPの推移をグラフにしたものだ。ご覧のとおり、昨年4月に税率を5%から8%に引き上げる消費増税の後、四半期ベースで2期連続マイナス成長に落ち込んでいたGDPが、ようやくプラス成長に浮上した。ここで問題なのは、何が寄与してプラス軌道を回復したのか、その要因である。 


 冒頭で紹介した新聞報道と比べて、どちらがより正確なニュアンスを伝えているのかわからないが、内閣府の記者会見録によると、甘利大臣は記者会見の冒頭で、「本日公表しました2014年10-12月期GDP速報では、実質成長率は前期比年率2.2%と、3四半期ぶりのプラスとなりました」と成果を強調したうえで、その要因として、まず「雇用・所得環境の改善傾向を背景とした個人消費」をあげ、次いで「アメリカや中国向けの輸出など」が「プラスに寄与している」と述べたことになっている。

 周知のとおり、雇用や所得の改善は、安倍政権がアベノミクスの究極の目標として、常に改善を目指すと表明してきた命題だ。それが実現して個人消費が伸びているのならば、これほど歓迎すべきことはない。

グラフ2「実質GDPの科目別伸び率」

 実際はどうだろうか。そこで、みていただきたいのが、グラフ2「実質GDPの科目別伸び率」だ。前期(14年7-9月期)のマイナス0.6%から今回(14年10-12月期)のプラス0.6%まで、差し引きで1.2ポイント改善する原動力となった部門はなんだったのだろうか。