3月25日に開かれた日本マクドナルドホールディングス(以下、マクドナルド)の定時株主総会でサラ・カサノバ社長は、異物混入問題をはじめとする一連の同社商品をめぐる品質問題について、説明不十分であったと謝罪した。
株主総会で報告された2014年12月期の決算は厳しいものだった。期限切れ鶏肉使用問題や商品への異物混入問題を受け、年間売上高は対前年比14.6%減の2223億円、営業損益は同182億円減の67億円の損失に沈んだ。既存店売上高も同11.2%減となり、売り上げ減は今年に入って加速しており、1月は全店ベース、既存店ベースとも38.6%減、2月は既存店ベースで28.7%減となり、昨年2月以降13カ月連続でのマイナスとなった。
今回の総会での目玉人事とされたのが、退任する原田泳幸会長に代わってロバート・ラーソン氏が本社から送り込まれることと、下平篤雄副社長(営業担当)の就任である。ラーソン氏は16歳から米マクドナルド本社に勤務し、下平氏も店舗からのたたき上げで、本部、有力フランチャイズチェーン(FC)の役員を歴任してきた。両氏ともマクドナルドの現場やオペレーションを知悉している。
さてカサノバ社長はマーケティング畑、ラーソン会長と下平副社長は現場オペレーション畑という布陣だが、「現場に近すぎはしないか」という懸念も残る。3000店舗も有する年商2000億円企業には、原田前会長のようなプロ経営者が必要なのではないだろうか。別の言い方をすれば、「今のやり方で袋小路に入ってしまっているのに、過去のスペシャリストばかり集まってしまった」と評することもできる。
本部トップがこのような人事を決定したのは、マクドナルドの悩みの裏返しでもある。昨年1年間で同社の店舗は111カ所が閉店、FCの撤退は69店舗に及んだ。そして、苦しいのはマクドナルドよりもFC加盟店である。同社の約3000店舗のうち2000店舗以上がFCとされる。オーナー1社で10店平均、年商20億円程度とみられるが、中には北陸中心に128店を展開するクォリティフーズのように100店以上を抱えるオーナーも散見される(『苦しむ外食産業』<週刊東洋経済eビジネス新書No.102より>)。
年商が20億円、あるいは200億円規模の企業で月間売り上げが4割近く減ってしまったら、一体どうすればよいのか。
●FCがマクドナルドを買収という妙手
「窮鼠猫を噛む」ではないが、大手FCがマクドナルドを買収するのが奇手妙手ではないかと思う。もし筆者が企業再生投資ファンドのマネージャーだったら、大手FCオーナーに「合弁会社をつくってマクドナルドを買収しよう」と提案する。
交渉先は日本のマクドナルドではない、米マクドナルドだ。なぜなら米マクドナルドも苦しいのだ。米マクドナルドが3月9日発表した2月の世界既存店売上高は、前年同月比で1.7%減少。消費者の健康志向を受けて、他のフード・チェーンに客を奪われているのだ。スティーブ・イースターブルック氏は3月1日付で米マクドナルドCEOに就任して、ただちに「戦略上の優先事項を白紙にする、差し迫った必要性がある」と危機感を示した。