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トヨタ役員逮捕 社長会見、極めて異例の危機管理に“7つの驚き” 他社は真似厳禁!

熊澤啓三/アーサメジャープロ代表取締役
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 逮捕されたのが初の女性役員ではなく外国人でもなく、日本人役員だったら会見していたでしょうか。抜擢人事を意識して、その任用方針に対する疑問と任用責任を問われるのではないかと危惧しての記者会見だとすれば、今回はあくまで個人的な犯罪容疑であり、社業とは無関係のため、その必要性は非常に低かったといえます。

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 本会見が今後、トヨタや他の企業の危機対応における悪しき前例になり得るリスクがある点も危惧されます。個人的な犯罪容疑に関して起訴されたり有罪が確定したりする前に記者会見をすること自体、一部の例外を除いて企業の危機対応を長年見てきた筆者にとっても異例のことです。今後同様のことが発生すれば、「トヨタも記者会見したのだから」と記者会見を安易に要求されるようになります。

 メディアから逃げて記者会見を開かなくていいと勧めているわけではありません。しかし、会見を開く企業側にとっても、企業の顧客や投資家といった重要なステークホルダーにとっても利点があるものでなければ、トップが記者会見を開く意義はありません。現在企業で広報などリスク管理に携わっている責任者は、今回のトヨタの対応にかなり困惑しているでしょう。

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 ハンプ氏の犯罪容疑について、「法を犯す意図がなかったことを信じている」と豊田社長は会見で述べましたが、この発言内容は少々ピントがずれているという印象を与えたのではないでしょうか。トヨタが重視すべきは「犯罪の有無」であり、犯罪の意図があろうがなかろうが違法と判断されれば社内規則などにしたがって処分をすればよい。「法を犯す意図がなかったと信じている」という発言は「子どもは守るべき理論」に基づくものでしょうが、市場や消費者が注目するのは、有罪が確定した後の企業の迅速な処分であり、早期の後任選定です。

 トヨタは、もし捜査によって犯罪の意図がないという公算が高まった場合、「違法だが擁護し続ける」との意思表示をするつもりなのでしょうか。中途半端に「従業員は家族」というイメージを訴求するのではなく、犯罪行為には会社として厳しく対処するという毅然とした対応を示すべき局面でした。

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 この緊急記者会見によって、テレビなどでのメディア露出量を大幅に拡大させてしまったことも、危機管理上好ましいとはいえません。企業の危機対応のイロハとして、「いかに危機事案の露出を抑制し、ブランドの毀損を最小限にとどめるか」という点があります。このイロハに照らしても、今回の対応は疑問です。仮に有罪が確定した場合には、もう一度記者会見を余儀なくされ、再び悪いイメージが広がります。一部の例外を除き、通常は有罪確定後の1回の記者会見で済む事案です。

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