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武田哲男「伸びる企業 衰退する企業」

異常なコストダウン競争で「底が抜け始めた」日本社会…手抜き・騙しが常態化

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「Thinkstock」より
 2008年のリーマンショックまでのアメリカでは、3カ月単位の決算で業績が振るわなかった際に株主が「社長ならびに役員は首!」と目をむいて怒っていたが、今の日本では証券取引所が「毎月決算報告」としたため3カ月どころか1カ月単位の業績評価が当たり前となった。


 ビジネスの性格にもよるが、食品スーパーなどでは時間帯ごとの評価設定がなされており、売り上げと利益に対する厳しさを表している実態といえよう。

 とはいえ、上場企業と取引のある中小企業であれば、短時間内の成果を迫られる可能性があるが、大部分の中小企業はこの実態に気づいていない。

 では、なぜ企業がこのような短期間で業績評価を迫られる事態に直面しているのかといえば、少子高齢化や企業の海外進出による国内企業に対する発注減少、つまり国内市場の縮小だ。欲しいものはひととおり手に入れ、体験したいサービスを体験した消費者は「どうしても欲しいモノ」が減った。

 また、全企業の99.7%を占める中小企業従事者の収入減少、支出増加、消費税をはじめとする諸税アップ、生活物価上昇などの負の影響をもろに受ける高齢者の貧困など、数え上げたらきりがないほど生活にマイナス要素が及んでいる。

 加えてICT(情報通信技術)・インターネット・IoT・機械化・ロボット化などの進展は、人間の業務をどんどん吸い込み、人々の仕事が減る方向にある。昔から「金持ちからカネを取ることは容易ではない。それができればプロ」「貧乏人からカネを取るのが楽」という言い伝えがあるが、まさにその通りの風情である。

 マーケットサイズはさまざまな視点から見るとさらに縮小する方向にあるが、思ったように顧客が製品・サービスを購入しない。それによって生じる現象が「低価格競争」である。この場合、「知恵」と「工夫」と「技術力」によるコストダウンは、企業力を増すが、今までどおりの状態でコストを下げるやり方は「値引き合戦」に拍車をかけ、利益率をさらに低下させ企業の疲弊に及ぶ。

 値引き合戦は資金力のない企業にとっては自殺行為であり、すぐに行き詰まる。一方、資金力のある企業は結果として勝つが、同様にダメージは受ける。かつて「HY戦争」と呼ばれたホンダヤマハの二輪車の値引き合戦は、ホンダが勝ったというものの相互のダメージは大きかった。