お家騒動で混迷するロッテホールディングス(HD)の創業者、重光武雄氏が騒動後日本では初めて肉声を披露する。
公開される映像は、ロッテHDの前副会長、重光宏之氏が昨年11月24日に立ち上げた「ロッテの経営正常化を求める会」のHPだ。2月9日午後にも公開されるもよう。創業一族の対立などで混乱する社員たちにメッセージを送るためにつくられたもので、「社員への思い」「取引先への思い」「創業の精神」などが語られている。
問題となっている後継人事については、「僕の長男の宏之が後継者になるべき。それが日本でも韓国でも常識。そうしないで(長男に問題がないのに)ほかの者がやったら、信用がなくなってしまう」と断言し、現体制を厳しく批判している。
ロッテは1948年に在日韓国人1世の武雄氏が東京で創業した日本屈指の菓子メーカー。その後、67年には韓国で流通事業やホテル・サービス事業などを中心に事業を拡大し韓国第5位の財閥となり、日本を長男の宏之氏が、韓国を次男の昭夫氏が担当してきた。
騒動勃発
ところが昨年1月に突如、宏之氏がロッテHDの副会長と取締役の職を解任され、周囲を驚かせた。現経営陣側は、宏之氏を解任したのは武雄氏としているが、宏之氏は当時の状況について筆者の取材に対し次のように語っている。
「きっかけは、2014年後半から年末にかけて佃孝之ロッテHD社長が、代表取締役会長をしていた武雄氏に虚偽や著しく誇張した説明をしたことからです。佃社長に促され、会長は私の解任に同意しました。その後、12月にはロッテHDから取締役の辞任を求められ、そして26日には取締役会で副会長の解職が決議されました。その後、グループ会社26社の取締役も解任されました」(宏之氏)
実は佃氏の背後には、もともと佃氏とは犬猿の仲だったとされる昭夫氏と、昭夫氏の右腕で韓国ロッテから日本のロッテHDのCFO(最高財務責任者)に就任した小林正元氏がいるといわれる。一度は宏之氏の解任に同意したとされる武雄氏はその後、宏之氏と一緒に昭夫氏をはじめとする現経営陣の解任に動き出す。そのいきさつについて、宏之氏は次のように語っている。
「会長はいったん相手を信じるとなかなか考えを変えない。納得してもらうのに時間がかかってしまいました。それでも7月になって、会長も騙されたことに気が付いたのです。そして7月3日に業務報告に来ていた佃社長を厳しく詰問して、辞任を求めたわけです」