宅配業者を選ぶ際にインターネット上の口コミを調べると、圧倒的な支持を集めているのがヤマト運輸の「宅急便(クロネコヤマト)」だ。佐川急便の「飛脚宅配便」と比較しても「品物の扱いが丁寧」などとヤマトドライバーに対し好感を抱くユーザーが多く見られる。
しかし、ヤマト元社員によれば、倉庫での荷物の扱いは決して丁寧とはいえないという。
ヤマトは、2015年のオリコン日本顧客満足度ランキング「宅配便」部門で、宅配便8社を対象として実際の利用者3,345人に調査が行われた結果、「受取のしやすさ」「再配達」「配達担当者の対応」「会社の信頼性」などすべての項目を制覇し「評価項目総合」1位に輝いている。もちろん「荷物の取扱い」もトップだったが、元社員はこう証言する。
「ヤマトの倉庫では発送地域ごとに荷物を仕分けるのですが、荷物を乱暴に投げるなど扱いが雑すぎて、膨大な荷物の中にはワインが割れて箱から染み出したり、冷凍の氷が溶けて魚臭い水が漏れ出したりして他の荷物に垂れているものもありました」
また、別の元社員もヤマトの倉庫の実態をこう明かす。
「ゴルフバッグは重いので床を引きずられながら運ばれ、それが倒れてくることもしばしば。さらに、日本語が読めない外国人アルバイトもいるので、荷物が逆さまに積まれていることもありました」
こうしたトラブルは倉庫にいる社員やベテランスタッフがフォローしていたというが、自分の大事な荷物がそんな扱いをされていると思うと気が気ではない。
客の評価は上々
しかし、ネット上で改めて利用者の声を見てみると、
「ヤマトの配達の人はめちゃくちゃ人がいい」
「荷物送るときは、絶対にヤマトに頼む」
「うちの地元の佐川は対応悪いから、ヤマトがいい」
などの意見が散見され、やはりヤマトへの信頼度は高く、引き合いに出されることが多い佐川急便には嫌な思いをしたことがあるユーザーが少なくないようだ。実際に両社を利用している企業に勤める女性は語る。
「佐川さんは受付に荷物を投げ入れるように運んでくることがあってビックリしますけど、ヤマトさんはいつも丁寧に扱っています。お客様宛の荷物は、必ずヤマトさんにお願いするようにしています」
このようにヤマトはドライバーによる「荷物の取扱い」の評判が高いだけに、客から見えない倉庫での実態はかなりショッキングだ。
一方の佐川急便に関しては「うちに来る佐川の配達員はいい人が多い」という声も聞かれ、ドライバーによって印象がかなり左右されている様子。前述の顧客満足度ランキングでも、1位のヤマト運輸に続く2位と3位は、佐川急便と日本郵便の「ゆうパック」が接戦をしている。元社員が語ったようなヤマトの実態が改善されていなければ、いつか顧客満足度トップの座にも影響が出てくるのではないだろうか。逆に、客から見えない部分ももっと徹底してくれたら、顧客はこれ以上ないほど満足するに違いない。
(文=編集部)