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トヨタ、組織硬直化と元役員の麻薬逮捕の呪縛…「意思決定遅い」と系列内から苦言

文=河村靖史/ジャーナリスト
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トヨタ、組織硬直化と元役員の麻薬逮捕の呪縛…「意思決定遅い」と系列内から苦言の画像1トヨタ「レクサス」(「Wikipedia」より/Noebu)

 トヨタ自動車が、4月からカンパニー制度に移行すると発表した。従来、地域や機能を軸とした組織だったが、製品を軸にした7つのカンパニーを発足させる。世界販売台数が年間1000万台を超え、組織の末端にまで目が届かなくなり大企業病になるとの懸念が広がるなか、組織を小分けすることでグローバルな自動車メーカーとして持続的な成長を目指す。ただ、同時に発表した経営体制は、昨年6月に同社初の女性役員だったジュリー・ハンプ元常務役員が麻薬密輸容疑で逮捕された事件も尾を引いて小規模な改選にとどまった。

「新しい体制を『もっといいクルマづくり』と『人材育成』を促進する『オポチュニティ(機会)』にしていきたい。この組織改正を将来の正解にするのも、間違いにするのも私たち自身」(豊田章男トヨタ社長)

 トヨタの4月からの新しい組織改正では、小型車、中型車、商用車、レクサスブランド、パワートレーン(エンジン・トランスミッション)、コネクティッド(情報通信)、先進技術開発の7つのカンパニー体制に移行する。

 トヨタの組織は、11年に北米や日本、中国など、地域別組織が主体的に経営する体制に移行し、13年には技術開発、車両生産技術などの機能を軸としたビジネスユニット制度を導入した。しかし、年間生産台数が1000万台を超えるなか、組織間の縦割り意識が強まり、機能間で連携する場合などに時間を要するなどの弊害が生じていた。

 そこで今回カンパニー制度を導入、機能軸別の組織だった技術と生産技術を「先行」「量産」に分けて各カンパニーに振り分ける。中短期の商品計画や製品企画は各カンパニーが担う。各カンパニーのトップ(プレジデント)には専務役員が就任し、責任と権限を集約、企画から生産まで一貫したオペレーションを展開する。

 また、小型車を製造する子会社のトヨタ自動車東日本、商用車を製造するトヨタ車体、レクサスを製造するトヨタ自動車九州はそれぞれのカンパニーの傘下に組み込まれる。トヨタが今年夏に完全子会社化するダイハツ工業も、小型車カンパニー(トヨタコンパクトカーカンパニー)に統合される見通し。

持続的成長を可能にする戦略

 トヨタがカンパニー制度導入で将来的に目指す姿は、米ゼネラルモーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)のようなグローバル自動車メーカーのようなブランド戦略とみられる。05年の世界販売台数が984万台と世界3位のGMは、ハマーやポンティアックなどのブランドを一部廃止したものの、シボレーやオペル、キャデラックなどの複数ブランドを展開している。販売台数が993万台で世界2位のVWは、アウディ、セアト、シェコダ、ポルシェなど、高級車、スポーツカーから大衆車まで、合計12のブランドを展開。ブランド各社は特徴を生かしながら、ある部分では連携して効率的な生産・販売体制を構築、世界での販売を伸ばしてきた。

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