仕事をしていて「一体何やってるんだろう」と感じることはないだろうか。同じ仕事の繰り返しの日々、目的やゴールが見えない仕事、給料もなかなか上がらない。その瞬間にやる気がなくなってしまう。それではいけないと思いつつも、そう感じてしまうのが人間というものなのだろう。
実際こう思っている人は多いはず。では、どうすればやる気を高めることができるのか。『イキイキ働くための経営学』(佐々木圭吾、高橋克徳著、翔泳社刊)では、会社で働く人が感じている素朴な疑問を出発点に、「今のキャリアで大丈夫?」「なぜ職場はギスギスするの?」「会社の戦略がわからない」「リーダーは強くあるべき?」いった疑問に対して解説する一冊だ。
■モチベーションを高めるためのアプローチ
やる気が出ないというのは誰にでもあること。問題なのは、このやる気がない自分に慣れてしまうことだと著者は述べる。この状況から抜け出すにはどうしたらいいのか。経営学ではやる気のことをモチベーションと呼ぶが、それにはもう1つの意味があるそうだ。
それは「動機づけ」という意味である。モチベーションを引き出すには、心理的な達成感、充足感など、内的な刺激になる「内発的動機」と得たい報酬や避けたい罰など、外的な刺激になる「外発的動機」の2つの因子の少なくともどちらか一方が働くことが必要なのだ。
では、やる気の源泉となるものはどうやって見つければいいのか。それについてこの本はどう答えているのだろう。
■内的報酬を高める
その1つが「報酬」である。仕事の努力が一定の業績に結びつく可能性が高く、そうした業績を上げると一定の報酬がもらえ、その報酬が自分にとって価値があるものと認識できたとき、人のモチベーションは高まる。ここで大切なのは、努力をすれば結果が出る、結果が出れば自分にとって価値のある報酬が得られると期待できるかである。ところが、ここには大きな問題がある。それは、努力をすれば結果が出るという期待が持てない仕事が増えてきたこと。さらに、仮に結果を出しても、そこに見合う報酬がもらえない状況が広まってきたことだ。
こうした状況の中で、より重要になってきているのが、努力が業績につながる確度を上げていく方法を見出していくこと、給与などの外的報酬よりも、仕事そのもの、達成感、承認への期待といった内的報酬を高めていくことだ。仕事のモチベーションにつながる職務とは、タスクの重要性が高く、必要な技能が多様で、タスク自体が自己完結してできる状態にあること、さらに自立してその業務に取り組むことができ、適切なフィードバックがあること。これらの要因を満たしたとき、仕事を有意義だと感じ、責任を持ってやりきることでの意欲が高まるのだ。
仕事のやる気がなくなってしまっているとき、どのようにしてやる気を高めるか。そして、仕事へのモチベーションを高く保つために何をしたらいいのか。本書は経営学という視点からヒントを与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。