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売り切れ続出…ペヤングの「偽物風」ペヨング販売、密かな狙いは?「共食い」の危険も

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ペヤング ソースやきそば(「アマゾン HP」より)
 3月14日、まるか食品は『ペヤングソースやきそば(以下、ペヤング)』の姉妹品として『ぺヨングソースやきそば(以下、ペヨング)』の発売を開始しました。


 この両製品は名前から想像がつくとおり、特徴が非常に似通っています。パッケージは縦長のペヤングに対してペヨングは横長ですが、デザインカラーは同系色で、店頭でパッと見た感じでは見間違うほど似たデザインを採用。中身の違いもわずかで、内容量がペヤングの120gに対してペヨングは106gと14g少ないほかは、ソースのあっさり加減とかやくの肉の有無の違いのみで、いつもペヤングを食べているファンにとっても「ペヤングっぽいけどちょっと違う」という印象を抱かせる商品に仕上がっています。

 このペヨングは、すでに多くのファンを抱えるペヤングの姉妹品だけに、発売の発表と同時にインターネット上でも話題が沸騰し、小売店からの注文は通常の新商品の5倍に達するなど、発売前から大きな注目を集めることになったのです。

なぜ、まるか食品はペヨングを発売したのか


 まるか食品は2014年12月の異物混入事件以降、生産ラインを刷新するためにペヤングの販売を全面的に停止していましたが、15年6月には関東地方から販売を再開。すると、待ちきれなかったペヤングファンが一気に店頭に殺到し、品切れ店が続出するなど予想を上回る需要に、再開した工場は24時間体制でも生産が追いつかないといううれしい悲鳴を上げる事態になりました。

 その後も生産ラインを拡大するまで品薄状態が続くなど順調に売上を伸ばしてきましたが、今回の姉妹品ペヨング投入にはどのような狙いがあるのでしょうか。

 その背景を深掘りしていくと、まるか食品の主力商品であるペヤングの売上を伸ばす意図を秘めたマーケティング戦略が見て取れます。

 今回の廉価版のペヨングの投入は、これまで価格面で取り込めなかった顧客層を開拓し、最終的にペヤングの購入につなげていくという2段構えのプロダクト戦略になっているのです。

 これまでペヤングは希望小売価格として税別で170円を設定し、実際にはスーパーなどの店頭で140円前後の価格で販売されてきました。この希望小売価格制は、メーカーから小売店に「このくらいの価格で売ってほしい」と希望することによって、メーカー側にとって自社製品の安売り合戦による値崩れなどで、これまで築いてきたブランドを傷つけることを防ぐ効果がありますが、逆をいえば価格の安さをアピールしてより多くの顧客を惹きつけることができないという側面も併せ持つことになります。