グリコ、なぜ冬のアイス販売増?セブンカフェの2倍売る「店」?非常識が新顧客を創造
競争環境の激化や変化に対応すべく新規事業を立ち上げようと模索するが、うまくいかない。現場に任せていては埒が明かないと、今度は新規事業だけに特化した専門組織を創設する。それでも、その多くは成果を上げることなく役割を終えるようにみえる。なぜだろうか。
ひとつは、現業から離れて新しい事業化だけを考える部署は、ややもすると机上の空論に終始しがちなことが要因である。事業化のヒントはやはり現場にある。問題は余裕がないことだ。気持ちの余裕、時間の余裕、人の余裕、お金の余裕などさまざまあるが、効率ばかり優先させて余裕を持たせないと将来の芽を摘んでしまうことになる。
もうひとつは、事業は創造できても顧客を創造できずに失敗するケースである。誤解を恐れずに言えば、事業化、つまり事業を創ることは簡単だ。問題は顧客を創造できるかどうかである。事業を創るのではなく、あくまでも顧客を創ることが目的であることを忘れてはならない。いっそ「顧客創造部」とでもしたほうがよいかもしれない。
成熟した国内市場から成長するグローバル市場へと「グローバル化」が経営のキーワードになっている。それはそれで間違いではない。人口減に転じた国内市場に留まっていては成長することは難しいだろう。
しかし、何がなんでもグローバル化すればよいというものでもない。国内で伸びる余地がないというのは視野狭窄に陥っている証拠だ。どの企業も自社の顧客でない顧客のほうが圧倒的に多いはずだからだ。成熟したと思われる市場でも、新たな顧客を創造することは可能だ。
成長しているアイスクリーム業界
日本アイスクリーム協会によると、図に示すようにアイスクリームの販売額は着実に伸びており、ここ2年は過去最高を更新しているという。そしてその勢いは2015年も止まらない。
アイスクリームの主要顧客は誰かといえば、それは子供であろう。季節はいつかといえば、やはり暑い夏であろう。つまり、アイスクリームは、いつ、誰が食べるかといえば「夏」に「子供」が食べるということだ。その真逆である「冬」に「大人」が食べるということははまず考えられない。
ところが、この非常識ともいうべき「冬」の「大人」という顧客を創造したことが、アイスクリームの販売額を押し上げている要因のひとつだといわれている。