料理レシピサイト大手クックパッドは3月24日に定時株主総会を開いたが、この日を挟んで同社は激震に見舞われている。株主総会前々日の22日の取締役会で、創業者で取締役の佐野陽光氏が執行役を解任された。その更迭を主導したのは、同社の社外取締役だったとされている。
ところが、株主総会後に開かれた24日の取締役会で、新しい役員陣は穐田誉輝(あきたよしてる)氏の社長職を解任し、佐野氏を執行役として復帰させた。後任社長には、同総会で新たに取締役として選任されたばかりの岩田林平氏が選任された。岩田氏は佐野氏が推薦した人物なので、株主総会後の動きは、「佐野氏の逆襲」として理解できる。
私は3月30日、テレビ番組に出演してこの騒動に対し意見を求められ、概ね次のように見解を述べた。
会社は誰のものか? 資本主義社会においては、それは株主のものである
経営者は、株主から経営を寄託されている。社員は従業員である。会社総体としてはステークホルダー全員(顧客、社会も含む)の最大幸福を求めるとされるが、それに向けた意思決定責任は一義的に経営者にあり、その任命権は株主にあるので、最終意思決定者は株主だ。複数の株主がひとつの会社に存在するので、その会社の最終意思決定は持ち株数による。これが株主資本主義だ。
上記を前提にクックパッドの株主構成を見ると、筆頭株主は2人の個人、しかも今回の経営権争奪騒動の当事者である。
・佐野陽光氏:43%
・穐田誉輝氏:15%
この2人の持ち株比率はとても高く、3位以下は機関投資家である。
上場会社でも創業経営者がまだ実権を握っている例は珍しくない。株式公開により多数の一般株主が出現して、創業者の持分は数%となってしまったところも珍しくない。ところが、そのような創業社長や創業家社長でも、まるでファミリー企業における“家長社長”のように振舞っている例はいくらでもある。創業者、創業家は社内的にも社会的にも一目も二目も置かれている。
クックパッドの場合、創業者でもある佐野氏のオーナー意識はとても高いだろう。なぜなら、佐野氏はまだ半数近くの株式を握っているためで、クックパッドの実態はオーナー会社といえよう。
さて、株主提案権を行使するためには、(1)6カ月前より引き続き総株主の議決権の100分の1以上、または300個以上の議決権を有する株主であること、(2)総会日の8週間前までに行使されることが必要となる。