仕事の空き時間や友人との待ち合わせに重宝するのが、カフェチェーン店だ。都心の街中ではさまざまなチェーン店を見ることができるが、その筆頭ともいえるブランドが1990年代にカフェブームを巻き起こしたスターバックスコーヒー(以下、スタバ)だろう。
スタバは、サービス産業生産性協議会が2014年度に発表した「第25回JCSI(日本版顧客満足度指数)」で初めて顧客満足度1位となったが、翌年度の同ランキングにおいて3位に陥落。代わりに国内の総店舗数でスタバを上回るドトールコーヒーショップ(以下、ドトール)が首位に躍り出た。
ライバル関係にある両者の価格を比べてみると、ドトールの定番のコーヒーである「ブレンドコーヒー(S)」が220円なのに対して、スタバの「ドリップコーヒー(short)」は280円となっており、ドトールのほうがかなり安い。
その分、スタバはインテリアや空間づくりに力を入れており、顧客満足度こそが重要なポイントのはずだ。だが、結果的にはそれもドトールに軍配が上がった。このデータだけではなく、スタバはサービスレベルが低下していると指摘する声がちらほら聞かれるのが現状だ。
コンセプトとは真逆の店内の雰囲気
では、具体的にスタバのどのような点に顧客は不満を持っているのだろうか。
「スタバはあまりお店で落ち着けないですね。客層は幅広いけれど、若い人は大学生風、年齢が上のほうだとあまり上品ではないおばさんが多く、店内が結構うるさいです。それにノマドワーカーがはやった影響なのか、店内でPC作業をしている人が多いのも鬱陶しい。コーヒーの味はそれぞれの好みだと思うけれど、あの雰囲気の中でもわざわざ行きたいと思うほどではありません」(30代男性)
「ドトールは空いているし、客層も落ち着いていてPC作業している人もスタバに比べると圧倒的に少ないから、『ゆっくりしたい』というときはドトールに入るようにしています」(男子大学生)
このように、スタバは店内が騒々しく落ち着かないという意見が多かった。
スタバは「Third Place」(家庭でも職場でもない第三の場所)をコンセプトに、居心地のいい雰囲気づくりを目指しているはずだが、カフェ好きな人たちの意見を聞く限りはまったく逆の結果になってしまっている。
利益を優先する企業の末路
一方で、このような意見も聞かれる。
「スタバのイスやソファは座り心地がいいし、内装も高級感があってオシャレ。客層さえまともなら、もうちょっと居心地がよくなると思う」(男子大学生)
要素だけ見れば、スタバは十分に顧客をリラックスさせられる環境を用意できるはずなのだが、最近の店内の雰囲気を見るに、“あまり品の良くない”顧客層がそれを妨げているといえるのかもしれない。
かつては顧客満足度が高かった東京ディズニーリゾートも、利益を優先した人員削減によってサービスの質が下がり、また値上げと客の入れすぎによってゲストの質も下がったことなどから、最近は顧客満足度が大幅に低下している。
スタバも、雰囲気を犠牲にして、あらゆる客層を受け入れていれば、落ち着きを求める顧客をさらに遠ざけてしまう結果になるだろう。
(文=A4studio)