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自分の報酬14億が原因で会社赤字のあの社長、ほぼ40年社長君臨に株主が決起の行動

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「Thinkstock」より

 独立系の自動車電装品メーカーのユーシンは、田邊耕二会長兼社長が赤字に転落しても14億円の報酬を得ていたとして有名になった。

 ユーシンは2010年と14年に社長を公募したが、田邊氏の御眼鏡にかなう人物がいなかったようで、断念して16年2月から3人の役員による集団経営体制に移行することになった。田邊氏は会長兼社長にとどまっている。

 2月22日付日経産業新聞が田邊氏へのインタビュー記事を掲載した。

<私はもう82歳。10年先はないので、3年後をメドに次期社長を決めたい。85歳で引退したスズキの鈴木修・元社長が1つの目標だ。長く社長をしていると、独自の経営方法が根付くので辞めるのも大変になる。次期社長を決めないのは会社の業績が良いからだ。好調な時は能力がなくても経営はできる。経営が苦しくなったとき、どのような判断をするか見たい。ただ、社長探しに焦りはない>

 事実上の田邊氏の続投宣言である。ユーシンは田邊氏の父・善吉氏が1926年、スイッチ類の製造会社として立ち上げた。戦後、自動車部品メーカーに転じ、97年に東証1部上場を果たした。田邊氏は78年に社長に就き、06年に社長を辞めて顧問になったが、08年に社長に復帰。2011年から会長を兼務している。

田邊会長兼社長が役員報酬の9割を独り占め

 ユーシンの15年11月期連結決算の売上高は前期比5%増の1642億円、営業利益は53%増の47億円、純利益は2.2億円の黒字(前期は4.3億円の赤字)に転換した。

 14年11月期に赤字に転落したのは田邊氏が巨額の役員報酬を得ていたからである。役員報酬は年齢を重ねるごとに増えている。

【田邊氏の役員報酬額の推移】
11年11月期 1億3600万円
12年11月期 4億6500万円
13年11月期 8億3400万円
14年11月期 14億 500万円
15年11月期 9億3500万円
(資料:東京商工リサーチ「『役員報酬1億円以上開示企業』調査」)

 10年3月期から上場企業に1億円以上の高額報酬を得ている役員の開示が義務づけられた。故・樫尾俊雄カシオ計算機名誉会長が12年3月期に手にした13億3300万円がこれまで最高額だったが、田邊氏がトップに躍り出た。樫尾氏の場合は退職慰労金が主だったが、田邊氏は通常の役員報酬でこれだけの金額を得ている。

 ユーシンの14年11月期の決算の最終損益は4億円を超える赤字だった。赤字会社の社長が日本一の役員報酬を得ていることについて批判も多い。15年11月期には9億3500万円に減額したが、同期の最終損益はわずか2.2億円である。