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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(4月19日)

アマゾン、利益出さずに巨額現金生むモデル…楽天、在庫リスクゼロで会員顧客を循環させ利益

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アマゾンの倉庫(「Wikipedia」より/Asacyan)

オムニチャネル」という言葉は、5年後にはもう使われていないだろう。なぜなら、小売業が店舗やインターネット(PCサイト、携帯端末サイト、ソーシャルメディア)、紙媒体(カタログ、ダイレクトメール、雑誌、新聞)、テレビ、その他複数のチャネルで販売するのは当たり前になっているからだ。アマゾン・ドット・コムも、2015年11月に米国シアトルに店舗を開いており、近いうちに店舗網を構築するであろうと予想されている。

 アマゾンが店舗を開く理由というか、小売業がオムニチャネルを進める理由は2つある。

『合理的なのに愚かな戦略』(ルディー和子/日本実業出版社)
1.消費者の選択肢を増やすことで優良顧客を育成

 複数のチャネルで購買する客は、ひとつのチャネルだけで購買する客よりも購買金額が高くなることは、日本でも海外でもデータで裏づけされている。世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートの最高経営責任者(CEO)も15年に、「店舗だけで購買している客の年間累計購買金額は1400ドルだが、ネットでも買っているマルチチャネル購買客の累計購買金額は2500ドル、そしてネットだけで買っている客の場合は200ドルだ」と発言している。

2.物流拠点として店舗を利用することによる経費削減

 即日か翌日配送、そして配送無料という威力あるオファーをコスト安に実現するためには、客自身が注文した商品を店舗まで取りに来てくれるのが一番。また、販売企業も、物流センターからではなく店舗から顧客自宅に配送する方法もとれる。そのため、一定規模の小売業であれば、オムニチャネル戦略を採用しようと思うはずだ。

 だが、これまでネット通販をしたことがない企業が、既存のビジネスモデルの妥当性を検討することなく、異なる顧客セグメントに到達できるとか、チャネルが増えることで売り上げが付加されるなどと期待してネットを利用する場合、かなりの年月と資金を無駄な試行錯誤に費やすことになる。これは、逆の場合にも同じことがいえる。

 15年6月の日本流通新聞発表によると、日本におけるB2C(企業が個人消費者を対象に行う電子商取引)のネット通販売り上げランキングは、アマゾンジャパンがダントツで7000億円、2位は千趣会の831億円、そのあとはヨドバシカメラ、デル、ニッセンと続く。

 ちなみに楽天は、ショッピングモールに出店している小売業者からの出店料や手数料が収入源となっているため売上高は低いが、14年度の流通総額は2兆円ほどある。衣料品販売サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイも、楽天と同じく手数料ビジネスが中心なのでランキング順位は低いが、流通総額は1300億円くらいといわれる。