先月、ロート製薬が社員に対し、他社やNPOで働くことを認める「副業制度」を発表し、話題を呼んだ。
これまでの日本社会では、特に大企業で働く場合、「副業禁止」が常識だったが、同社のように社会的影響力のある企業がこのような決断に踏み切ったことで、今後、副業への風向きが変わるのではという見方もある。
筆者自身、副業の経験はない。しかし何かと先行き不透明な時代、リスクヘッジという意味でも、本業一本に絞らないほうがいいのではないかと思うことはある。
しかし、肝心の本業とのバランスはどう考えるべきなのか、もし副業を本業にする日が来るとしたら、それはどういう時なのか?
■副業で儲けられるようになっても“すぐに”会社をやめてはいけない!
『ガラケー男がネット副業で年収5000万円』(扶桑社刊)の著者、五十嵐勝久さんは、新卒で地方銀行に数年勤めた後、証券会社に転職。転職3年目にネット副業を開始し、半年後には副業だけで月収30万円、1年後には月収100万円を達成したという人物だ。
その後、事業が軌道に乗り始めた五十嵐さんは、副業開始5年目の頃から独立を意識するようになったという。だが実際に独立に踏み切ったのは、そこからさらに3年が経過した、副業開始8年後のことだった。
副業によって安定的に月収200~300万円を稼ぎ出していたにもかかわらず、なぜ彼はこれほどの期間、会社員として働き続けたのだろうか。
■独立してもいいタイミングは、副業での年収を目安に考えよ
五十嵐さんは「独立してもいいタイミング」について「副業で最低でも1年分の生活費を貯めてから」と述べている。つまり、今の本業での年収が500万円だとしたら、副業だけで500万円を稼ぎ出し、それを丸々貯えにできる状態になってから独立すべきというわけだ。
その根拠として、五十嵐さんはこう付け加えている。
・基本的に、独立1年目は減収になる可能性が高い。
・会社員時代は気にしなくて済んだ「税金による出費」もかさむようになる。
特に1点目については、極端な話、「1年間、収入ゼロ」でも耐え忍べるだけの蓄えをしておくという心構えが必要なようだ。
そして何より、独立して副業を本業にしようとするなら、副業だけで本業並みに稼げるようになっておくことも重要だろう。
■独立を考えているからこそ会社にいるうちに積んでおきたい経験
上で述べたように、副業で然るべき地力をつけてから独立するのが好ましい。そして地力をつけるためには、それなりの時間がかかる。
だが、会社を“すぐに”やめないほうがいい理由は、それだけではない。本書によれば、独立後タフに生き抜くためにも、会社にいるうちに積むべき経験があるという。