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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

食品、ありとあらゆる偽装が蔓延…生産~流通が完全「闇」化、騙され続ける消費者

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「Thinkstock」より
 1月半ばに発覚した壱番屋廃棄カツ横流し事件を受けて環境省は3月14日、類似事件の再発防止策を発表した。しかし、今回の事件の全容解明が不十分なまま、つまり横流しに至った背景など、問題の全体像を把握できない状態での再発防止策は、水漏れを防げぬザル法になりかねないのではないか。


 廃棄カツの横流しは、いわば正規食品への偽装の手口の1つだ。そこで今回は本連載前回記事に引き続き、再発防止策の是非と共に「偽装の経済学」の視点から事件の背景に迫ってみる。

イカサマのサイコロ賭博のようなもの


 農業経済学関連で、フードシステム論(フードチェーン論)【編注7】という研究分野がある。これは、食料品の生産から流通、消費までの領域や産業の関係、つまり川上の農水産業から川中の食品製造・卸売業、川下の小売・外食産業、そして最終的な消費者までのつながりを、ひとつの全体的な流れ、システムとして食の問題を考えるものである。

 食の安心・安全は、フードシステム論の重要なテーマで、特に「情報の非対称性」を問題にする。「情報の非対称性」とは情報格差を意味し、入手できる情報の質・量から生じる格差を指す。

 食品についていえば、売り手側(農水産業に食品製造・卸売業、小売・外食産業)が質量ともに豊富な情報を持っているのに対し、買い手側の消費者が入手できる情報はあまりにも貧弱だ。

 たとえば、今回の壱番屋のビーフカツの場合、1袋5枚入りでスーパーなどで販売されたが、ビニール袋には赤文字でビーフカツと表示されているだけで、「CoCo壱番屋」の記載もない【編注8】。消費者は廃棄食品だとは露知らず、そのスーパーへの無意識の信用と、わずか5文字の情報を手がかりに、食に適さない危険な食品を買ってしまった。

 食の偽装での「情報の非対称性」は、たとえば鉛などを入れて1の目が出やすくしてあるイカサマのサイコロ賭博のようなものと覚えておけばよい。それを知っているのは胴元だけで、情報のない客はひたすら負け続ける。

 田畑で米・野菜を栽培し、鶏や豚、牛を飼い、川・海・沼で魚貝を捕る自給自足的な食生活ならば、食の安心・安全情報は完全で情報の格差がなく、つまり情報の対称性が保たれる。