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中国経済、失速鮮明に…公的資金で強引に「官製バブル」演出、メッキ剥がれ始める

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
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中国経済、失速鮮明に…公的資金で強引に「官製バブル」演出、メッキ剥がれ始めるの画像1「Thinkstock」より

 最近、「中国経済が持ち直しつつある」との楽観的な考えが広がっている。その背景には、住宅価格を中心に不動産市場が回復していることがある。不動産開発の盛り上がりや政府の公共投資の期待を受けて、一部の鉄鋼メーカーは減産ではなく増産に踏み切っている。政府による融資規制の緩和などが不動産投資を支え、一時的にセンチメントが改善している。それを一部の経済専門家は「持ち直し」と見ているようだ。

 ただ、経済指標を見る限り、依然として中国経済は減速している。1~3月期のGDPは6.7%増となり、足元の製造業部門全体の活動も伸び悩みが鮮明化している。これまで中国政府は、不動産から株式、そしてまた不動産へと投資資金のシフトを促して景気を支えてきた。株式市場が低迷すると、政府は融資規制の緩和などを打ち出して資金を不動産に流れ込ませてきた。問題は、そうした表面的な動きに反して、実体経済の本格的な動きが遅れていることだ。

 また、足元では人民元がやや軟調に推移している。それは米ドルの先高観だけでなく、中国の減速懸念や不動産市場の先行き不透明感を反映しているといえる。先行き、人民元が大きく下落すれば世界の投資家が中国経済の変調を懸念し、リスク回避が進む恐れがある。それは、円高圧力を高めるだけでなく、多くの新興国の景況感悪化にもつながる。チャイナリスクの高まりが、わが国の景況感を悪化させることには要注意だ。

中国経済に対する楽観を支える不動産市場

 
 足元の中国経済を支えている主な要因は、住宅価格の上昇を中心とする不動産市場の回復だ。GDPや工業生産などを見ると、指標そのものの水準は低下している。一方、その内訳を見ると、不動産向けの投資、販売床面積などの伸びが顕著だ。つまり、中国経済は基調として弱い動きが続いているが、住宅を中心とする不動産市場の回復が弱さをある程度補っている。それが、一時的に景気への懸念を後退させている。

 問題は、不動産市場の回復が持続可能か否かだ。結論からいうと、不動産市場での本格的な需要の回復は見られない。住宅などの価格上昇は、政府による規制緩和と利下げを受けた一時的な投資(投機)熱に支えられているとみるべきだ。

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