小売りの寡占化が急速に進んできています。イオンは大型モールを次々に出店していますし、セブン-イレブンを中心とするコンビニエンスストアも街における密度をさらに高めています。さらに、専門店でも2008年の日本経済新聞社の調査によると、上位5社のシェアの合計は、家電ではヤマダ電機を筆頭に71.8%と、比較可能な04年度から12.8ポイント上昇しており、家具においてはニトリの影響が大きく4.9ポイント高い92.3%にまで達しています。
その他、カジュアル衣料ではユニクロ、ライトオンなど上位5社で、04年度より1.4ポイント高い76.3%、紳士服も青山商事、AOKIホールディングスなどが上位を占める5社で78.2%と4.7ポイント上昇しています。
こうした大きなシェアを背景とする自主企画商品(PB)への着手、さらにはすべてを自主企画商品でまかなう製造小売(SPA)といったビジネスのスタイルが勢力を強め、規模を武器とする低価格化が顕著に進んでいます。こうした傾向は、現代の日本の小売市場の特徴といえるでしょう。
では、小規模小売業者はいかにして、こうした大手小売業者に対抗すればよいのでしょうか。
セレクトショップ
規模は小さいながらも、こだわり抜いて仕入れた商品を丁寧に販売することにより、低価格競争とは一線を画す、いわゆるセレクトショップという業態があります。低価格に注目が集まる一方、多くの消費者から強い支持を得ているセレクトショップが皆さんの生活圏にもあるのではないでしょうか。たとえば、インターネットの世界においては、伊勢丹のカリスマバイヤーであった藤巻幸大氏が立ち上げた藤巻百貨店などが有名です。
セレクトショップというと、シップス、ビームス、ユナイテッドアローズといった大手アパレルショップを思い浮かべる人が多いことでしょう。
大辞泉によるとセレクトショップとは、「衣類・家具・雑貨などの商品を、店主の好みや個性によって選んで品揃えし、生活様式や暮らし方を全体的に提案する店」と定義されています。
よく考えると、こうしたことは本来ならすべての小売店が基本的機能として保有すべき要素であるはずです。しかし、わざわざセレクトショップという言葉が出てくるということは、多くの小売店においてはマーチャンダイジングに注力することなく、卸の意向に従う、ヒットしている商品を集めることに終始するといった点にのみ注力するケースが目立っているからだと思われます。
また、アマゾンに代表されるようにネットの大手小売りサイトは、「とりあえず売れそうな商品はすべて揃える」という勢いです。こうしたビジネスモデルの行きつく先は、低価格となるのがお決まりのパターンでしょう。