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経営陣への信認度が突出して低い大企業リスト12社!セコム、不可解人事&内部崩壊で株価暴落

文=編集部
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経営陣への信認度が突出して低い大企業リスト12社!セコム、不可解人事&内部崩壊で株価暴落の画像1セコム本社(「Wikipedia」より/110kuwahara)

 世界の機関投資家に影響力を持つ米議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、日本の3月期決算企業の定時株主総会を前に、およそ400社の取締役選任議案に反対を推奨した。

 反対を推奨したのは過去5年間の平均の自己資本利益率(ROE)が5%未満で、改善傾向がみられない企業。不祥事を起こした会社の人事案にも反対した。

 ISSが反対を推奨した取締役・監査役のなかで最も賛成比率が低かったのは、出光興産社長の月岡隆氏。6月28日に開いた定時株主総会で月岡社長の取締役再任への賛成率は52.3%だった。

 昭和シェル石油との合併に反対を表明した創業家のグループと、海外投資家や一般株主が加わり、反対票は47.7%に達した。実質的な不信任である。

 ISSが出光の資本効率の低さを理由に月岡氏再任への反対を推奨したことが、海外投資家に影響を与えた。

東芝

「会計不祥事は、上司に逆らえない風土が引き起こした」

 6月22日の東芝の株主総会でも厳しい声が相次いだ。綱川智新社長への賛成率は87.06%。ほかの9人の取締役(97~98%)を大きく下回った。新社長の旧経営陣とのしがらみを指摘する声が社内外にあったのは事実だ。

 ISSは東芝の新社長となった綱川氏の選任案にも反対した。「旧経営陣の干渉を許し、会計不祥事を引き起こした企業文化を維持した責任を負うべきだ」とした。

 ISSと並ぶ議決権行使助言会社、グラスルイスは、綱川氏と会長に昇格する志賀重範氏の2人の社内取締役と小林喜光氏ら6人の社外取締役(いずれも再任)の合計8人の選任案に反対を推奨した。

 株主総会では志賀氏について「原発事業を率いてきた志賀氏を取締役から除くべきだ」との修正動議が出されたが、否決された。

タカタ

 エアバッグ問題に揺れるタカタは、6月28日に株主総会を開いた。ISSは欠陥エアバッグ問題で経営危機を招いた責任があるとして高田重久会長兼社長の取締役再任について反対を推奨した。賛成率は84.26%。ほかの6人の取締役(89~93%)の賛成率を下回った。高田氏は総会で一時、辞意を表明した。

シャープ

 シャープは6月23日、株主総会を開き台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による計3888億円の出資案を承認した。高橋興三社長の再任賛成率は89.28%で、ほかの9人の取締役(94~95%)を下回った。

 ISSは、巨額の最終赤字を計上しROEが低迷した経営責任を問題視し、高橋氏の再任に反対を推奨した。高橋氏は鴻海精密工業の出資が完了した時点で社長を辞任することになっている。

三菱ケミカルホールディングス

 三菱ケミカルホールディングス(HD)会長の小林喜光氏は、経済同友会代表幹事を務める日本の財界の顔のひとりである。お膝元の三菱ケミカルHDは6月24日、株主総会を開いた。同社は石油化学事業の構造改革に伴い特別損失が発生。2016年3月期のROEは5%を割り込んだ。

 ISSは16年3月期までのROEの平均値が4.4%の三菱ケミカルHDに関し、会長の小林氏と社長の越智仁氏の再任反対を推奨した。小林氏の賛成率は87.71%、越智氏は87.98%で、96~99%の賛成率だったほかの11人の取締役と大差がついた。

神戸製鋼所

 6月22日に開かれた神戸製鋼所の株主総会では、川崎博也会長兼社長の賛成率が87.33%と前年比7.9ポイント下がった。一方、ほかの10人の取締役の賛成率は96~97%と高かった。ISSは16年3月期までの5年平均ROEが2.6%と低いことについて川崎氏に責任を求め、同氏の再任案に反対を推奨していた。

JFEホールディングス

 16年3月期のROEが1.8%に落ち込んだJFEホールディングスも、同様の理由でISS の反対推奨の対象となった。6月23日開いた株主総会での林田英冶社長の賛成率は83.54%で、ほかの4人の取締役(94~98%)の賛成率は高かった。

セコム

 ISSは主に株価指数に連動して日本株を運用する海外投資家に利用されている。ISSが反対を勧めた取締役選任議案は、賛成率が軒並み下がる傾向にある。

 ISSはセコムの5月の社長交代に疑念を表明した。セコムでは前田修司会長と伊藤博社長(いずれも当時)が解職され、常務の中山泰男氏が社長に就任した。ISSはこの手続きが「透明に実施さていない」と苦言を呈した。それでも議案そのものには「反対するほどではない」とした。

 6月24日に開かれたセコムの株主総会では、業績好調だったにもかかわらず前田氏と伊藤氏が解職された経緯を問う株主の声が相次いだ。最高実力者である創業者の飯田亮取締役最高顧問は体調不良を理由に欠席したが、両氏の解職理由を問われることを避けた“敵前逃亡”と受け止められた。

 賛成比率は飯田氏が98.07%で、昨年(97.08%)を若干上回った。新社長の中山氏は96.90%だった。中山氏の賛成比率は高率だが、それでも10人中最低で昨年の伊藤博社長の97.02%をも下回った。

 不可解な会長、社長解任劇があったにもかかわらず、株主総会はおおむね平穏だった。なぜ、これほどの高率の支持が続くのかという謎を解くカギは機関投資家対策にある。会長、社長の解任を決めた任意の指名・報酬委員会のメンバーの名前を、総会前に機関投資家に開示していたのである。だが、マスコミにはいまだに公表していない。機関投資家の投票行動は不可解だが、ひとつはっきりしているのは、セコムの株価がジリジリ値下がりしていることだ。株主は、こうしたあいまいな決着を望んでいない。許せないと考えた個人株主や外国人株主が持ち株を売り、株価は大きく値下がりしたのだ。

川崎汽船

 ISS以外でも、旧村上ファンド出身者の投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントに株式を買い占められている川崎汽船の6月24日の総会では、「ROE低迷や企業価値毀損の責任は現取締役が負うべきだ」とエフィッシモが主張し、反対票を投じた。このため村上社長の賛成比率は56.88%(昨年は85.92%)と急落した。エフィッシモは朝倉次郎・会長など他の取締役の選任や剰余金処分などの議案には反対しなかった。だから、村上社長の再任以外の議案の賛成票は9割を超えた。

オートバックスセブン

 カー用品大手、オートバックスセブンもROEの低さが問題になった。6月21日に開いた株主総会で小林喜夫巳社長の賛成率は69.53%(前回は98%)に大きく落ち込んだ。ほかの8人の取締役の賛成率も71~73%と低かった。

コマツ

 社外取締役の選任案で反対票が膨らんだ企業もある。6月22日に開催したコマツの株主総会では、社外取締役の奥正之氏(三井住友フィナンシャルグループ会長)の賛成率は88.26%で、ほかの9人の取締役の賛成率が95~97%と高率ななかで唯一9割を割った。三井住友銀行はコマツのメインバンクであり、社外取締役の独立性が確保されているのかといった厳しい声が出されていたためだ。

スズキ

 スズキは6月29日に株主総会を開いたが、元中国大使で社外取締役の谷野作太郎氏の賛成率は75.59%だった。ほかの8人の取締役は92~96%で、谷野氏だけが低かった。

 ISSは、「不正会計(粉飾決算)を行った東芝で社外取締役を務めていた谷野氏は社外取締役に不適格」として、反対を推奨していた。

ソフトバンクグループ

 そうはいっても、ISSが原則論に凝り固まっているわけではない。ソフトバンクグループが6月22日開いた株主総会でISSは、社外取締役である永守重信・日本電産会長兼社長の再任議案に賛成推奨した。

 ISSは出席率が75%に満たない取締役の選任議案には原則反対する方針を掲げており、永守氏はソフトバンクの15年の取締役会への出席率が56%と極端に低かったにもかかわらず、人物本位で評価したという。ソフトバンク側も永守氏と日程のすり合わせをして、取締役会への出席率のアップに努めると表明していた。結局、永守氏の賛成率は92.61%と高かった。
(文=編集部)

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