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テレビ業界、ついに生き残りかけ捨て身の再編始動…CM制作費減少と「テレビ離れ」深刻

文=牧瀬良/フリージャーナリスト
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アジアに活路を求め、資本力増強も狙う

 アジアに活路を求めている点でも、両社の思惑が一致したようだ。『会社四季報2016年3集・夏号』(東洋経済新報社)の「材料欄」を見ると、AOIPro.は「【中国深耕】上海のCM制作協力会社に出資し持分会社化。北京子会社と2拠点体制強化で日系企業の需要深耕」、TYOは「【協業化】アジア圏の日系企業向け広告支援で、インドネシアに続きタイやベトナムでも業務・資本提携を促進」と明記されている。統合によって、中国・東南アジアで一気通貫のCM制作受託が前進するのは確かなようだ。
 
「ネガティブな統合ではなく、アジアで相互補完の体制を築くことができるという点でも将来に可能性を持った統合です」とAOIPro.の広報担当者は強調している。

 最近の広告・動画技術の進化に対応するために、資本力を増強する狙いもあるようだ。動画広告の主流はテレビからインターネット、VR・ARといった体験型コンテンツへ移行していくとみられ、統合をテコに技術開発を強化するという。VRは仮想現実(Virtual Reality)を体験できる技術であり、AR(Augmented Reality)はカメラに表示される映像にデータなどをCGで「その場にいるように表示する」技術。最近、国内外で話題になっている「ポケモンGO」はこのARだ。

 地上波テレビCM制作市場は縮小するものの、「広告に関連する事業領域は、その手法や構造の変化を伴いながらも、拡大していくものと考えられる」(ニュースリリースより)との共通の思いが両社にあるのも事実だろう。

 一方、テレビCM制作トップで16年3月期に約600億円(連結)を売り上げた東北新社は、2社の統合に関して「コメントを控えたい」(広報担当)と静観の構え。だが、シェアが塗り替えられるだけに決して穏やかではないだろう。この16年度下期からは「番組調達力、制作力を生かし有料動画配信の新サービスを開始する」(前出「会社四季報」より)など攻勢に出る。広告制作市場で、東北新社と統合2社による競争が一段と激化するのは間違いなさそうだ。
(文=牧瀬良/フリージャーナリスト)

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