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ブックオフ、深刻な客離れの兆候で赤字転落…ヤフオクのほうが「高く売れる」ことが判明

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ブックオフ店舗(撮影=編集部)

「お売りください」というキャッチコピーで、中古本販売店をチェーン展開させることに成功したブックオフコーポレーション。その後、本に限らず、家電や洋服、ブランド用品、スポーツ用品などへも幅を広げ、リサイクル・リユースで確固たる地位を確立した。昨年には携帯電話通信事業にも乗り出した。

 そんなブックオフが、危機に瀕している。2016年3月期、営業利益で1.5億円の赤字に陥った。04年の上場以来、初めての赤字だ。同社は経営を立て直すべく、4つの基本方針を打ち出した。

 それは、「人員強化」「ヤフオク!出品の直営店舗への導入」「中古家電の直営店舗への導入」「プロモーション集中投下」だ。

 人的強化については、採用を増やすと同時に、教育面の強化という側面がある。各業界で人材難が懸案事項となるなか、ブックオフは人材を増やしている。だが、それは同時に人件費の増大も意味しており、今後売り上げを大幅に伸ばせなければ経営はさらに悪化しかねない。

 2番目のヤフオク出品は、ブックオフがもっとも注力している部分だ。店舗とヤフオクで併売することで、回転率を高めることができる。併売システムを全国の店舗に拡大させている。ヤフオクへの出品点数は、この1年の間に10倍にも増えている。現時点で、併売システム導入店舗の売り上げは、未導入店舗より平均1%程度しか上回っていないようだが、今後もヤフオクでの販売は拡大させる方針のようだ。

 だが、そんな再建策をあざ笑うかのように、17年3月期の第1四半期(4~6月期)も赤字となった。8月5日に発表された「第1四半期決算短信」によると、連結営業損益は4億6600万円の赤字、経常損益3億3900万円の赤字だった。一方で、売上高は前年同期比12.3増の198億8300万円となっており、支出が拡大したことが赤字の大きな要因であることがわかる。

 ブックオフは、赤字の原因について次のように分析している。

「リユース店舗事業において、前連結会計年度に行った店舗パート・アルバイトスタッフの人員拡充による人件費の増加、ヤフオク!販売による物流コストの増加、新規出店による出店費用の増加等により、営業利益が減少しました。その結果、当第1四半期連結累計期間は営業損失となりました」

 主力の中古本やソフトメディアは、商品別の需給バランスを反映した値付けの導入や、ヤフオクへの出品効果が発現したことから、期初計画の750億円を20億円上回る770億円となる見込みだ。

売るならヤフオク

 ブックオフに中古品を売っていた人たちの間で、「ブックオフに売るよりも自分でヤフオクに出品したほうが高く売れる」ということが広く知られるようになり、それなりに需要がありそうであればブックオフには持ち込まなくなってきている。

 また、ブックオフで商品を購入して、ヤフオクで転売する「セドリ」と呼ばれる手法で利益を上げていた人たちは、ブックオフの商品がヤフオクでの需要を反映させた価格になってきたことから、ブックオフで購入しなくなった。

 同社は、主力商材である中古本市場が縮小を続けるなかで、本だけでなくあらゆるものをリユースする業態へと転換する移行期にある。そのため、人員補強、テレビCM、ヤフオク併売システムの導入など、先行投資を行ってきた。売り上げが増えれば、収益は改善すると見込んでいたためだ。実際に売り上げは増えたが、支出増をカバーするには至らなかった。

 ブックオフの直近5年の当期純利益を見てみよう。

12年3月期 18億6700万円
13年3月期 10億5800万円
14年3月期 9億5100万円
15年3月期 1億5100万円
16年3月期 -5億2800万円

 これだけでも明らかなように、利益は右肩下がりだった。だが、実はこの間の売上高と総売上利益は、ほぼ横ばいだ。事業を拡大させて売り上げが増えても、販売管理費を減らせなければ、今後も利益を生み出すのは難しいだろう。

 また、ブックオフに売る、ブックオフから買う、というサイクルから離脱してしまった顧客を取り戻す施策を打ち出さなければ先細りになるのは明らかだ。ヤフオクなどの普及により個人売買が容易になった昨今、不要になった物を売りたい人も「良い物はブックオフには持ち込まない」という流れが定着し始めている。そうなれば、「良い物を置いていないブックオフで買い物はしない」と考える人が増える悪循環になる。

 安く買って高く売るのがセオリーの古物売買ではあるが、単なる売買以上の付加価値を提供しなければ先細りになるのは避けられない。
(文=沼田利明/マーケティングコンサルタント)