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なぜユニクロが、ついにセブン&アイを逆転…すき家も、すかいらーくを逆転

文=編集部
なぜユニクロが、ついにセブン&アイを逆転…すき家も、すかいらーくを逆転の画像1ユニクロの店舗(撮影=編集部)

 8月5~21日に開催されたリオオリンピックは、日本人選手の活躍が相次いだ。体操、柔道、レスリング、卓球、バドミントンなどでの逆転勝利に日本中が沸いた。

 株式市場でも、今年の夏は株式時価総額の逆転が相次いだ。時価総額とは、発行済み株式数に株価(時価)をかけたもの。企業の現在の市場価値を示す。

 今年、兜町で話題をさらったのは、総合商社の逆転劇だ。伊藤忠商事の株式時価総額が3月29日、三井物産を上回った。三井は資源分野を中心に減損損失を計上し、2016年3月期に創業以来初の赤字決算に陥る見通しを発表した。対する伊藤忠は非資源部門が好調で、過去最高益となる純利益の予想を据え置いた。

 この発表を受け三井株は売られ、一方で伊藤忠株が買われた。この日の終値を基準とした時価総額は三井が2兆3965億円、伊藤忠が2兆3987億円。伊藤忠は1987年4月以来、29年ぶりに三井を上回り、時価総額で三菱商事の3兆1666億円に次いで総合商社の第2位に浮上した。

 だが、「禍福は糾(あざな)える縄の如し」という諺通りになった。伊藤忠は日本に上陸してきた空売りファンド、米グラウカス・リサーチ・グループの標的となった。グラウカスは伊藤忠株を「強い売り推奨」とするリポートを公表。これを受けて伊藤忠株は7月27日に一時10%安と急落した。この影響は大きかった。

 8月29日の終値の時価総額は三井が2兆4720億円、伊藤忠は1兆9838億円。三井が3%上昇したのに対して伊藤忠は時価総額が20%近く目減りし、三日天下に終わった。

小売り、外食、住宅で逆転

 各業界のリーディングカンパニーで時価総額の逆転が起きた。

 8月29日終値時点で、小売業ではファーストリテイリングの時価総額が3兆8663億円、セブン&アイ・ホールホールディングス(HD)は3兆8187億円。ファストリが僅差で上回った。

 ファストリが運営するユニクロは2度の値上げで客離れを起こしていたが、今年の春夏物から実質的に値下げし、7月の既存店売上高は2割増加。8月4日の時価総額でセブン&アイHDを8カ月ぶりに上回り、小売業で最高となった。

 セブン&アイHDは、コンビニエンスストア首位のセブン-イレブン・ジャパンは好調だが、総合スーパーのイトーヨーカ堂、百貨店のそごう・西武が低迷し、逆転を許した。

 食品では明治ホールディングス(HD)の時価総額が1兆4352億円、味の素は1兆3222億円。明治HDが味の素に水をあけた。

 明治HDは免疫力の強化が期待できるとされるヨーグルト「R-1」が大ヒット。16年3月期の連結決算は前期に比べて営業利益が1.5倍、純利益が2.0倍と飛躍的に伸び、市場の評価が高まった。時価総額は味の素を追い抜き食品業界で初めて首位となった。R-1効果である。

 外食では牛丼店「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)の時価総額が2715億円、ファミリーレストランのすかいらーくは2521億円。ゼンショーHDが8月10日に、すかいらーくを逆転した勢いを保っている。

 ゼンショーHDの16年4~6月期連結決算は、すき家が好調で最終損益が3年ぶりに黒字に転換。すき家の既存店売上高は6月、7月と2カ月連続で前年を上回った。すかいらーくは主力「ガスト」の既存店売上高が15年11月から16年6月まで8カ月連続で前年同月を下回るなど苦戦した。

 住宅では、大東建託の時価総額が1兆1983億円、積水ハウスは1兆1915億円。大東建託が僅差で戸建て住宅首位の積水ハウスを上回った。

 大東建託は節税対策として賃貸住宅を建てることを地主に提案。これが奏功して17年3月期の期初受注残高が8911億円と前年同期比8.4%増となり、これが評価された。大東建託は17年3月期も連続して最終利益が過去最高の見込みだ。

製薬と電子部品はデッドヒート

 製薬大手では、武田薬品工業とアステラス製薬がデッドヒートを繰り広げている。14年10月6日、アステラスは時価総額で初めて武田薬品を上回った。当時はアステラスが3兆7264億円、武田薬品は3兆6974億円だった。

 その後、抜きつ抜かれつの接戦を繰り広げてきたが、今年に入ってからは6月下旬にアステラスが一時上回った。アステラスは前立腺がん治療薬「イクスタンジ」が伸びたが、武田薬品は新しい大型薬が開発途上にあったことが大きい。

 アステラスは、イクスタンジの将来性について米国でお墨付きを得た。イクスタンジの開発・販売で提携する米バイオ医薬大手、メディベーションを米製薬大手のファイザーが140億ドル(1兆4000億円)で買収する方針を決めたからだ。

 ファイザーは発表文で「買収は売上高成長に即座に貢献する」(イアン・リードCEO)と説明した。イクスタンジの将来性が買われたかたちだ。東京市場では販売拡大への期待が高まるとともに、アステラスの対ファイザー戦略に関心が集まっている。

 これに対して武田薬品は国内外の研究体制を見直すことを決めた。これで新薬開発が進展するとの期待から武田薬品株が見直され、8月29日の時価総額は武田薬品が3兆6048億円、アステラスは3兆4515億円。今後も新薬開発や米メガファーマとの提携など海外での動向次第で時価総額の逆転、再逆転が起こるだろう。

 電子部品では、日本電産が8月3日、4年ぶりに村田製作所を逆転し、一時トップに立った。終値の時価総額は日本電産が2兆7813億円、村田製作所は2兆7437億円。

 M&A(合併・買収)に対する評価の差が時価総額の逆転につながった。村田製作所はソニーから電池事業を買収する。だが、赤字と見られる事業で「高い買い物になる」との見方から株価は下落した。

 対する日本電産は米エマソン・エレクトリックから産業用モーターや発電機などの事業を買収する。同社にとって、過去最大となる1200億円のビッグディールである。車載用ビジネスなど、新しい事業に米社のM&Aが寄与すると判断され日本電産株は買われた。

 その後、村田製作所と日本電産は再逆転した。8月29日の時価総額は日本電産が2兆7566億円とほとんど変わらなかったのに、村田製作所は2兆9599億円、ソニーの電池事業を買収するとの情報が流れる前の水準に戻った。これからも、両社は車載用電子部品のビジネスで鎬を削ることになる。
(文=編集部)

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