最近、立て続けに台風が日本列島に上陸し、北日本に深刻な被害をもたらしている。
台風が太平洋側から東北地方に上陸したのは統計が取られ始めて以来初のことであり、今までにないような進路をとる台風も発生している。
これも巷で言われている「異常気象」の一つなのだろうか。
こうなってくると、地震と同じように「自分の街は大丈夫」「自分や家族は大丈夫」と、根拠のない楽観視は通用しない。どこに住んでいようと、絶対に大丈夫ということはないのだ。
いざというときのために、防災対策をしておく。これで助かる確率は大きく変わってくる。
『いつ大災害が起きても家族で生き延びる』(小川光一著、ワニブックス刊)では、防災士であり被災地のリアルな声を全国に届け続ける著者の小川氏が、いま本当に必要な知識を伝える一冊だ。
■日本は「雨」の多い国。だからこそ対策はすべき
日本は梅雨前線や台風などにより、たくさんの雨が降る。年間平均降水量は1,714ミリ。これは世界平均の973ミリに比べて2倍近い数だ。
世界第4位の多雨国ともいわれ、台風に関しては、年平均26個の台風が国内に上陸している。こういったこともあって、風水害によって犠牲になった人の割合は他の自然災害に比べて一番多いのが現状だ。それだけ、風水害というのは身近な災害の一つととらえるべきだろう。
台風の上陸で激しい雨が長時間に渡って続いたときはとくに危険だ。どんな場所にどんな災害が起こりうるのか、しっかりと理解しておく必要がある。
河川部は、氾濫・決壊の可能性がある。
海抜0メートル地帯は、台風の気圧低下によって強風が吹き寄せ、海面が上昇する高潮に注意。道路より低い土地は、冠水の問題がある。平野部は、竜巻が起こりやすい地形だ。さらに山間部は土砂災害の危険がある。
住んでいる地域によって、それぞれ起こりうる災害の種類も異なってくるのだ。
■避難情報の違いを知ろう!
台風のとき、チェックしなければいけないのが、各市町村や気象庁などが出す避難情報だ。この避難情報には3つのレベルがある。本書からその違いについて取り上げよう。
・避難準備情報
人的被害が発生する可能性が高まった状態で命令。要救護者の方はこのタイミングで避難を開始。
・避難勧告
人的被害の可能性が明らかに高まった状態で発令。できればこの避難勧告が出る前に避難開始する。
・避難指示
人的被害発生の危険が非常に高い場合、また人的被害が既に出てしまった場合の発令。この時点では住民は確実に避難を完了し、万が一逃げ遅れた場合は生命を守る最低限の行動をとる。