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ポケモンGO、即ブーム消失…パズドラもモンストも白テニも同時的失速

文=編集部
ポケモンGO、即ブーム消失…パズドラもモンストも白テニも同時的失速の画像1「ポケモンGO」プレイ画面

 スマートフォン(スマホ)向けゲーム「ポケモンGO」の国内配信が始まってから1カ月が経過した。先行した米国同様、日本でもダウンロード数が推定1000万件を超える大ヒットとなった。

 新たなゲームが配信されて、1カ月後に継続して遊ぶ人は当初の4分の1いれば良いといわれる。飽きられるのは宿命なのだ。

 米アップルの日本向けアプリストアの無料アプリランキングで、ポケモンGOを配信して10日後の8月1日、コロプラの「白猫テニス(白テニ)」に抜かれ2位に陥落した。ポケモンGOは当初の熱狂が消え、定番ゲームのひとつになった。

スマホゲームが不振で減益決算

 スマホゲーム各社は、ゲームの不振が業績を直撃し、株価が急落した。

「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」を運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントの株価は7月29日、年初来安値の226円をつけた。パズドラが爆発的にヒットし、2013年5月14日には1633円の上場来の最高値をつけたから、ピークから86%も下げたことになる。

 16年4~6月期連結決算の売上高は、前年同期比25%減の614億円、営業利益は36%減の266億円、純利益は36%減の168億円。主力のパズドラ人気が一巡し、課金収入が減少した。

 ソフトバンクグループが筆頭株主だったが、保有株をガンホーに売却。ガンホーは2度の自社株取得に1500億円を投じ、ソフトバンクグループから離れた。

「モンスターストライク(モンスト)」を運営するミクシィも同様だ。16年4~6月期決算の売上高は、前年同期比5%減の473億円、営業利益は17%減の201億円、純利益は15%減の135億円。モンストの課金収入が減る一方、広告費が膨らんだ。

 減収減益決算を受け、ミクシィの株価は大幅に反落した。8月8日に一時、前週末比520円(14%)安の3300円に沈んだ。

 コロプラも業績は不振。16年9月期第3四半期(15年10月~16年6月)連結決算の売上高は647億円、営業利益は256億円、純利益は147億円。第3四半期より単独決算から連結決算に移行しているため、前年同期比の増減は開示していない。

 16年9月期(通期)の連結純利益は180億円の見込み。従来予想は単独決算ベースだが210億円だった。連結決算に移行したにもかかわらず、単独純利益の見込みより30億円下回る。白猫プロジェクトの課金収入が大きく落ち込んだほか、連結化に伴うのれん代の償却が響いた。

 コロプラの最終利益の市場予想は239億円だったから、これを大きく下回ることになる。業績悪化を嫌気した売りが殺到。7月28日には一時、制限値幅の下限(ストップ安水準)の前日比400円(21%)安の1485円まで下げた。

 ポケモンGOフィーバーが社会現象となったが、浮かぶものがあれば沈むものも出る。ゲーム市場を牽引してきたパズドラ、モンスト、白猫の人気に陰りが生じた。

新規上場のLINEは黒字転換

 日米に同時上場した無料対話アプリのLINEは、「ディズニーツムツム」「LINEポコポコ」などのスマホゲームを提供している。7月15日の株式上場後は冴えなかった株価が、8月に入って復調の兆しを見せている。営業損益、最終損益とも黒字転換したからだ。

 上場後初の決算となる16年12月第2四半期(1~6月)の連結決算(国際会計基準)の売上高は前年同期比20%増の673億円、営業損益は133億円の黒字(前年同期は9億円の赤字)、最終損益は25億円の黒字(同52億円の赤字)と黒字転換した。

 前期は買収した音楽配信事業が100億円超の営業赤字となり、連結業績の足を引っ張った。

 当たり外れが大きいゲーム内課金などコンテンツ事業に代わり、広告が業績を牽引する。1~6月期で、すでに売り上げの36%を広告が占めた。

 広告の比重を高める経営を株式市場は評価した。8月16日に株価は一時、前日比365円(8%)高の4795円を付けた。時価総額は1兆37億円となり、上場初日の1兆円台を回復した。

ディー・エヌ・エーは多角化で生き残り

 ディー・エヌ・エー(DeNA)の株価は8月23日、一時、前日比80円(3%)高の3050円となり、年初来の高値を更新した。

 任天堂からスマホ用ゲームの運営を委託されるDeNAの株価は、ポケモンGOで任天堂株が急騰した7月上旬以降、歩調を合わせて上昇。7月22日に年初来高値、2849円をつけた。

 ポケモンGOフィーバーは沈静化したが、DeNAの株価はさらに上昇した。16年4~6月期連結決算(国際会計基準)の利益が大幅に改善したことが追い風となった。

 売上高に当たる売上収益は前年同期比1%増の382億円と横這い。営業利益は83%増の73億円、純利益は2.5倍の51億円と大幅な増益になった。

 主力のゲーム事業の部門営業利益は2%減の66億円と振るわなかった。しかし、スポーツ事業の売上高は46%増の54億円、同部門の営業利益は18億円と倍増した。1月に横浜スタジアムを連結子会社にし、横浜DeNAベイスターズ主催の入場者数が増え利益を押し上げた。

 DeNAは、ゲーム以外に事業の幅を広げている。NTTドコモやヤマトホールディングスと提携し自動運転分野に進出するなど、ゲーム会社からの脱皮を積極的に図っている。事業の多角化が株価アップを後押しした。

今年のクリスマス商戦の主役はソニーの「プレステVR」

 ゲーム情報誌「週刊ファミ通」(エンターブレイン)によると、15年の国内ゲーム市場は1兆3591億円。このうちスマホ向けなどのゲームアプリは9283億円で、国内ゲーム市場の68%を占めるまでになった。

 参入プレーヤーが多く、競争は厳しい。パズドラ、モンスト、白テニは大ヒットしたが、それに続く新作に大ヒットの兆しが見えない。

 スマホゲームに敗れた家庭用ゲーム機メーカーは巻き返しを図る。日本ではスマホゲームが主流だが、海外では家庭用ゲームに根強い人気があるという。

 ソニーは10月にVR(バーチャルリアリティ)機種のプレイステーションVRを発売する。国内勢はもとより、全世界で230社以上のゲーム開発会社がソニーのVRへコンテンツを提供すると表明した。年内にも有力タイトルが続々投入され、ゲーム業界の最大の稼ぎ時であるクリスマス商戦の主役になるのではないかと期待されている。

 スマホゲーム会社は、前門に任天堂のポケモンGO、後門にソニー・プレイステーションVRの状態となる。厳しい冬を迎えることになりそうだ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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