「流し」という仕事を知っているだろうか。
流しとは、ギターなどの楽器を持って酒場をまわり、客の要望に応えて歌の伴奏をし、さらに自らも歌う者のこと。もしかしたら、飲み会の席などで、流しに遭遇したことがある人もいるかもしれない。
この「流し」から仕事術を学ぶことができる。
本書『流しの仕事術』(パリなかやま著、代官山ブックス刊)では、文章と松山ミサ氏のイラストと動画で、現代を生きる流し。パリなかやま氏の日常とその仕事術を紹介している。
自分の趣味や特技を仕事にするために必要なものとは?
「流し」は楽器の演奏と歌が主な仕事。つまり自分の特技をそのまま使えるというわけだ。
しかし、もちろんそれだけで仕事がスムーズにいくわけではない。むしろそれだけでは失敗してしまうだろう。
では、どのような力が能力が必要なのだろうか。
楽器や歌、マッサージや占いなどの特技を活かして稼ぎたいという場合、自分の特技を売るには5つのステップがある。
1.売る物(特技)を決める
2.流す場所を見つけて、責任者と交渉する
3.流しのポイントを押さえる
4.流しを実践する
5.トライ&エラーを繰り返す
簡単にいえば、この5つだ。たとえば、3の押さえるべき「流しのポイント」とは、どこなのか。
飲食店で、さまざまなお客さんに向けて歌うパリなかやま氏。ただ、喜びのポイントは人それぞれなので、いかに早く、最適なネタをズバッと差し出せるかがポイントとなる。
流しに求められる能力は、「即応力×技能力」であり、そのどちらが欠けてもうまくいかないという。
流しの場合の「即応力」は、お客さんの年齢・ファッション・集まりの主旨・酔い加減などから今一番、彼らがアガる歌を割り出し、自分が演奏できないものを頼まれる前にこちらから導くこと。
一方、技能は、レパートリー・テクニック・習熟度・物マネ的小技などで、要求に応じるためのキャパシティとクオリティのことで、努力次第で上げられるもの。
もう一つ大切な要素が、その人自体のエンターテインメント性だ。本人の意図とは関係なしに、他者にウケる何かが必要なのだ。良くも悪くも元の性格を素直に発揮することで出てくるという。
特技を活かして稼ぎたい、副業したいという人は、本書の仕事術は参考になるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。