地方創生に向け、ふるさと自慢の情報発信に力を入れる自治体が急増している。大分県のPR動画「シンフロ」シリーズや、宮崎県小林市の移住促進PR動画「ンダモシタン小林」のように、全国的に話題を集めた作品がある一方、鹿児島県志布志市の納税PR動画「UNAKO」のように女性差別などの批判が相次いで配信停止に追いやられるケースも出ている。
長期化する人口減に歯止めをかけ、移住者の確保や地域の活性化のためにあの手この手で自治体の知名度、存在感をアップさせようと、どこも必死なのである。
そうしたなか、今年は長野県が注目を集めた。ひとつはNHK大河ドラマ『真田丸』人気。上田市にある「信州上田真田丸大河ドラマ館」は予想を上回る人出で、10月1日には入場者が70万人を突破した。当初の目標は2017年1月15日までに50万人だったが、これは7月末にクリア。その後目標を70万人に引き上げていたが、それもあっさりと達成した。ドラマ放送期間中に設置されたイベント会場に動員した人数として、過去最高だった『篤姫』の67万人(08年)を上回ったのである。
もうひとつの話題は諏訪湖。大ヒット中の劇場アニメ『君の名は。』(東宝)の聖地巡礼のひとつにされていることだ。ヒロインの三葉が住む架空の「糸守町」にある湖が諏訪湖ではないかとインターネット上で話題になり、湖を見下ろせる諏訪市内の公園を訪れるファンが後をたたない。ちなみに、新海誠監督は南佐久郡小海町の出身だ。
幸福度ランキング上位の常連なのに人口減は止まらず
長野県も多くの自治体と同じで、人口減に悩んでいる。16年1月1日現在の県の総人口は209万4452人と前年より1万735人減少した。14年連続の減少である。このままいくと、40年には約166万人にまで落ち込むとみられている。県としても危機感を抱き、さまざまな政策を打ち立てている。
そんな長野県だが、7月に発表された日本総合研究所の「都道府県別幸福度ランキング」(16年度版)で福井、東京、富山に続き第4位となった。同調査1回目の13年度は堂々のトップ、2回目の14年度は3位だった。順位は落としているが、毎回上位にランクインしている。