今回の調査では、生活、健康、仕事の分野で上位に食い込んだ。仕事を持つ高齢者の割合や平均寿命は前回同様1位。おいしいお米を食べ、野菜摂取量が日本一という健康的な食生活を送り、温泉や癒しの森に恵まれている。就業率も全国第2位と高い。そんな羨ましい環境にありながら、人口減が止まらない。移住実績が927人と過去最高を記録しても、自然減を含めた減少数は年間1万人を超す。魅力や価値が十分に生かされていないのではないか。
13年に策定された「5カ年計画」(しあわせ信州創造プラン)は、そんな現状を打破し、新たな信州を創生しようという取り組み。「信州をけん引するものづくり産業の振興」「強みを活かした観光の振興」などを掲げた計画で、今年で4年目になる。
県の企画振興部総合政策課の担当者は、こう語る。
「全国初の取り組みや全国1位のデータなど、長野県ががんばっている成果を数字や文字だけでなく写真やイラストを多用して親しみやすくして紹介しました。県民はもちろん、県外の方にも長野県の魅力を知っていただきたいですね。東京銀座にある(アンテナショップの)銀座NAGANOでも、4Kテレビで紹介していきたいと考えています」
東京から新幹線で約1時間20分の至近距離にある長野。これが逆にマイナスに作用している。県内に大学が少ないため、高校生の進学先は首都圏をはじめとした県外が主流。卒業後もなかなか帰ってこない。そんな現状を変えていこうと、県は18年開学予定の県立大学新設を計画。グローバルマネジメント学部、健康発達学部から構成され、「全学生が海外を体験」「地域の課題解決に取り組む授業」などをアピールしている。
自治体PR動画をつくっても、多額の費用をかける自治体も増えており注目を集めにくくなってきているのが実情だ。長野県のケースは、HP上での視覚的な情報発信という地味なかたちであるが、内容は興味深いものが多い。問題は、そうした情報をどうやって多面的に伝え、県外の多くの人々に知ってもらうかだ。現状では認知度はまだまだ低い。自治体の効果的な情報発信のあり方が問われている。
(文=編集部)