「東京にある主要なホテルに宿泊する訪日外国人が8月、突然減ったのです。訪日外国人は増加しているはずなのですが」
こう語るのは、東京都内の大手シティーホテルの幹部だ。このホテルは都内でも外国人の宿泊者の割合が多いホテルとしてよく知られており、8月に外国人客の宿泊者が激減したという。
10月22日付日本経済新聞朝刊によると、都内の主要18ホテルは今年に入って客室の稼働率が7カ月連続で前年割れとなり、8月の稼働率は79.2%と前年同期よりも6.2%減少し、今年最大のマイナス幅を記録した。同紙では「宿泊料金の上昇を受け、国内客、訪日外国人ともに都内ホテルの利用を避けたようだ」という。
確かに中国の経済成長は鈍化し、韓国の大手財閥などの経営危機なども盛んに報道されている。そうしたなかで日本にくる外国人が激減する可能性は低くない。
ところが日本政府観光局(JNTO)の調べによると、訪日外国人の数は依然として増え続け、1月から8月までの総数は前年に比べ24.7%まで増加、8月だけでも204万9000人と前年同月比12.8%増と、8月としては過去最高となっている。
そこで前出・シティーホテル幹部は、東京周辺だけが減っているのかもしれないと考え、調査会社などに依頼し、調べてもらったという。
「関東周辺の空港や港などを中心に調べてもらったのですが、やはり東京周辺に来ている外国人は増えているのです。中国や台湾からの訪日外国人の数もその伸び率は鈍化していますが、数は増えているのです」(同)
それだけではない。前出・日経新聞では「宿泊料金の上昇などを受け」と書かれているが、このホテル幹部は「私たちのグレードよりも下の安いホテルの稼働率も落ちているんです」といぶかしがる。
地方に分散?
では、訪日外国人はいったいどこにいったのか。
「最近は規制緩和で民泊もできるようになってきています。しかし、それほど多くの外国人を泊めることができるほど民間の宿泊施設は整備されていません。地方に行った可能性も否定できませんが、全国のシティーホテルなどのデータ上は地方がそれほど伸びているようにもみえません。8月というのはビジネスの旅行者が少なく、夏休みなどもあることから観光目的の旅行者が増加する。こうしたお客さんがどこかにいってしまったと思います」(同)
では、それはどこなのか。観光庁の担当者は言う。