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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

LCCの概念を破壊し始めたLCC…国際線参入続々で「1万円以下」時代へ、大手を侵食

文=牛場春夫/航空経営研究所副所長
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LCCの概念を破壊し始めたLCC…国際線参入続々で「1万円以下」時代へ、大手を侵食の画像1サウスウエスト航空の旅客機(「Wikipedia」より/Bill Larkins)

 1971年6月18日に米国の都市ダラスからサンアントニオ、およびヒューストンのテキサス州内へ向かう路線に就航したサウスウエスト航空が、世界の格安航空会社(LCC)のパイオニアであるといわれている。

 サウスウエストは97年、その2年前に開設した直販サイト「iflyswa.com」を現在の「southwest.com」に名称変更した。LCCの営業にとってのライフラインともいうべきオンライン直販が本格的に始まったのがこのsouthwest.comからだとみなせば、97年が世界におけるLCCの始まりといってよいだろう。97年といえば、今や世界のオンライン旅行会社市場のおよそ60%以上を席巻してしまった、エクスペディアの運営会社AAE Travelやブッキングドットコムの同プライスラインが営業を開始した時期と一致する。

 サウスウエストは1973年以来現在まで、世界の航空会社の経営に甚大な影響を与えた燃油費の異常な高騰が何度かあったにもかかわらず、一度も損失を計上することなく43年間も連続して利益を計上し、世界最大のLCCに成長した。サンアントニオで小規模な航空会社を経営していたロリン・キングと、今や伝説的航空人となった弁護士ハーバート・ケレハーが共同で開発したLCCビジネスモデルは、「低コスト+低運賃」を武器に今まで航空機に乗ったことがない人たちを引き寄せて、瞬く間に世界の航空市場に広がった。そして、LCC市場規模は全世界の航空旅客市場の4分の1(25%)を占めるまでに拡大した。

 しかし、LCC誕生後20年間でそのビジネスモデルは大きく変貌している。元祖のサウスウエストでさえ、今では米メジャーのアメリカン、デルタ、ユナイテッドと肩を並べる四大メジャー、あるいは「ビッグ3+1」などと呼ばれて、フル・サービス・キャリア(FSC)とあまり変わらない航空会社に変身しているくらいだ。

 ケレハーたちが開発した(初期の)LCCビジネスモデルは、航空情報調査機関の世界的大手CAPA(Centre for Aviation)によれば、以下の10カ条から成り立っている。

・高密度客室仕様(ハイデンシティー・キャビン・コンフィギュレーション)
・単一クラス(エコノミー・クラス)編成
・高稼働航空機運用
・単一航空機編成(B737ないしA320に代表される一本通路狭胴機フリート)
・低運賃(含む格安プロモーショナル運賃)とオンライン直販最優先
・二地点間直行路線運航(ポイント・トゥ・ポイント=P2P路線便)
・短・中距離路線運航
・ノーフリル・サービス(手荷物・座席指定・搭乗順位・機内食・機内映画/音楽・機内Wi-Fiなどの付帯サービス有料化)
・二次的空港(セカンダリー・エアーポート)離発着
・最短空港駐機時間(最短空港折り返し時間)

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