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名和高司「日本型CSV確立を目指して」

最貧困層を救うビジネスの超優良企業…社会貢献の高さ=高収益の相関関係が鮮明に

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伊藤園本社ビル(「Wikipedia」より/Vantey)

「ガバナンス元年」の昨年に続き、今年は「ESG元年」と言われている。ESGとはEnvironment(環境)、Society(社会)、Governance(統治)の略。企業の長期的な成長を担保する非財務指標として、欧米では最近重視され始めている。日本でも昨年、世界最大級の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG重視を表明、にわかに注目を集めている。

 去る9月27日には、東京・大手町サンケイプラザホールで東洋経済新報社主催の「ESG・CSV Trend 2016」フォーラムが開催された。筆者は、そこで基調講演を行うとともに、パネルディスカッションに登壇した。300名近い経営幹部や機関投資家が参加、会場は熱気につつまれた。

 従来、環境や社会に配慮することは、CSR(企業の社会的責任)の色彩が濃かった。そして投資家側は、CSRが企業価値向上に資するとは考えていなかった。せいぜい、ブラック企業という批判や環境コストを事後的に負うという将来のリスク回避のための施策として、ネガティブ・スクリーニングに活用する程度だった。

 しかし21世紀に入り、ESG投資が欧米で台頭してきた。ESGを経営の主軸に据えている企業ほど、企業価値の向上も期待できるということが経験的に明らかになってきたからだ。2014年時点において、世界全体のESG投資残高は21兆ドル、世界の全投資額の30%にあたる。全体の投資額に占めるESG投資の割合を地域別にみると、アメリカ30%に対して、欧州では63%に上る。

 欧州の優良な機関投資家は、早くからESGに着目してきた。たとえば、今回のフォーラムを協賛したフランスの独立系運用会社コムジェスト。15年末時点で2兆7000億円規模(うち新興国は1兆6000億円弱)の資産を運用している。

 特徴的なのは、銘柄のバリエーション時の割引率(ディスカウントレート)の算出に、同社独自の4段階のESGレーティングを採用している点。ESG評価が高いほど割引率が小さくなる。たとえば、ESG評価が最高の場合、割引率が0.5~1%減算され、逆に最低の場合、2%~3%加算される。結果として、ESGへの取り組みに熱心な企業ほど、投資対象となりやすい。

 フォーラムに登壇した日本コムジェスト代表取締役の高橋庸介氏は、ESGのような非財務指標を「未」財務指標ととらえるべきと語っている。ESGへの積極的な取り組みは、将来財務的なインパクトをもたらすと確信しているからだ。