クリスマスイブにセブン-イレブンでケーキを購入し、箱を開けてみると、出てきたのは食べかけのケーキの残骸だった……。これは、中国などではなく、昨年12月24日に日本で実際に起きた出来事だ。
この話はインターネットの情報サイト「探偵ファイル」によって伝えられ、1月17日にはセブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスが「店員が自分で購入して食べかけだったケーキを誤って販売した」という事実を認めて謝罪した。
問題のケーキを販売したのは、東京都江東区のダイバーシティ東京プラザ店。男性客が「イタリア栗のクリスマスモンブラン」(税込み2900円)をほぼ半額で購入したところ、食べかけのケーキが入っていたため、店舗に連絡を入れたという。
衛生管理が徹底されているはずの日本で、しかもコンビニ大手のセブンで、なぜこのような不祥事が起きたのだろうか。
コンビニではあり得るミス?販売ノルマの実態も
あらためてセブン&アイの広報センターに聞くと、当該店では当日、アルバイト店員が勤務中にプライベートで商品のケーキを購入し、途中まで食べて店舗内の冷蔵庫に保管していたが、ほかの店員が売り物と勘違いして店に並べてしまったことが原因だという。
客とすればたまったものではないが、流通ジャーナリストの法理健氏は「コンビニの現場の状況を考えれば、十分に起こり得るミス」と語る。
「コンビニでは、アルバイト店員などが店舗の商品を購入することはよくあります。その場合、自分で購入した商品にはレシートを貼り付けたりマジックで名前を書いたりして販売商品と区別しますが、今回はそうした対応が徹底されていなかったのではないでしょうか。客にとっては大迷惑な話ですが、イージーミスが重なった結果といえるでしょう。
なぜなら、コンビニのような接客業は『お客様ファースト』のため、客への対応がすべてに優先するからです。さらに、今のコンビニは業務が多くて現場は忙しく、なかなか休めないのが現実。客が途切れなければ、自分で購入した商品にレシートを貼るなどの作業は、どうしても後回しになってしまいます」(同)
今回のミスも、そうした状況で生まれたものと考えられる。また、法理氏が言うように、コンビニの店員には「1人10個」など、クリスマスケーキのような季節商品の販売ノルマが課せられることも知られている。当該店に販売ノルマがあったかどうかは不明だが、法理氏は「クリスマス後には大量の廃棄商品が出ます。それが少しでも減るのは、悪いことではありません」と語る。